2014年、安邦保険集団が買収した米ニューヨークの最高級ホテル「ウォルドルフ・アストリア」 (Spencer Platt/Getty Images)
中国企業の凋落

昨年まで資産32兆円 安邦保険、中国政府が管理

中国政府は最近、国内金融大手の安邦保険集団を政府の管理下に置くと発表した。同集団の呉小暉会長を起訴し、同集団の違法性のある経営手法で、保険金の支払い能力が損なわれる可能性があるためだとしている。安邦は近年、ニューヨーク市の最高級老舗ホテル、ウォルドルフ・アストリアを含む海外の企業や不動産を積極的に買収していた。同社の爆買いの背景には、共産党内の敵対勢力があると睨んだ習近平政権は「人民元流出規制」を名目に、同社を失墜させた。

中国保険監督管理委員会2月23日の発表によると、同社顧客の資産保護のため、2019年2月22日までの一年間、政府が同社を管理する。保監会主導で、中国人民銀行(中央銀行)や銀行、証券、為替の監督機関から成るチームが同社の管理に当たる。巨大企業体の安邦保険の総資産規模は32兆円以上と言われた。

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中国国内複数の政府系メディアは19日、中国企業の海外投資に関して「非理性的対外投資」とし、一部では中国企業が海外サッカークラブチームへの買収は「資金洗浄」だと痛烈に批判した。政府系メディアに非難された企業の中に、近日資産売却でメディアで大いに取り上げられた複合企業の大連万達集団(ワンダ・グループ)と、国内家電量販大手の蘇寧電器(現在は蘇寧雲商)を傘下に持つ蘇寧控股集団の名が挙がった。
習近平政権の腐敗取り締まりの対象は、権力と癒着する企業家、いわゆる政商にも広がっている。中国一の大富豪・王健林氏も例外ではない。王氏が率いる複合企業・大連万達集団(ワンダ・ グループ)はここ数カ月間で、約8割の国内産業を売却し、経営の主体である不動産から完全撤退せざるを得ないほど、追い込まれている。かつて「打倒ディズニー」と豪語した敏腕経営者は、今やすっかり勢いを失った。
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