近年、中国企業による欧州サッカークラブの株取得や買収が相次いでいる。人民元の海外流出は景気減速に繋がると捉えている中国当局は、海外クラブ爆買いの動きは「非理性的な投資」「資金洗浄の疑いがある」として厳しく批判した。
中国国営放送CCTVは19日、一部の海外投資の目的は「資産移転」と指摘し、特にコングロマリット万達グループと家電大手の蘇寧グループを名指して、海外サッカーチームの買収は資金洗浄の疑いがあると報道した。
万達グループは15年1月に、4500万ユーロ(約59億円)でスペインのサッカーチーム、アトレティコ・マドリードの株式20%を取得。蘇寧グループは16年6月に、2億7000万ユーロ(約351億円)で伊インテルの株式70%を取得した。
中国国家発展改革委員会(発改委)のスポークスマンは18日の記者会見で、一部の企業による海外の不動産、ホテル、エンターテイメント、スポーツクラブの買収は「非理性的な海外投資」であると述べた。
社会科学院金融研究所の尹中立氏はCCTVの番組で、「これらの企業は国内での負債率が高く、銀行からの融資で海外投資を行っている。投資が焦げ付けば、銀行の不良債権が増える」と指摘した。海外買収によって国内の金融リスクが高まるとの認識を示した。
当局の一連の動きから、香港紙・経済日報は「当局は今後、海外投資に対する監視を強化するだろう」と分析した。
中国金融当局の銀行業監督管理委員会(銀監会)は6月中旬、万達集団や保険大手の安邦集団、複合企業の復星集団と海航集団に対して、海外投資後の債務増加リスクに懸念を示した。銀監会はこのほど、国有銀行に対して資産売却した万達の6つの海外買収案に融資しないようと指示した。
(翻訳編集・張哲)