絶妙なタイミングで「パパ!」と手をたたく子供
PTSDに悩む帰還兵と難病に苦しむ女性。多難な人生を歩む二人の心を支えたのは、養子に迎えた子供でした。
アメリカ・オハイオ州に住むタイラー・パルマーさんと妻のマンディーさんは、多くの苦難を経験してきました。タイラーさんはアフガニスタンで任務に従事したあと深刻なPTSD(心的外傷後ストレス障害)を発症し、マンディーさんは長年患っているクローン病のため手術でほとんどの腸を失いました。しかし、二人にとって最もつらかったのは、子供を授からなかったことでした。
「何年も試みてきたけど、子供ができませんでした。私の病気のせいで、妊娠は難しいと分かったのです」とLoveWhatMattersのインタビューに答えるマンディーさん。
子供ができないという残酷な事実をつきつけられた二人。それでも、二人はあきらめませんでした。「多くの困難を経験してきた私たちは、病気だからといって夢をあきらめるタイプではありません」
そして、二人は養子を迎える準備を始めました。必要な条件を満たして、何回も面接をパスした夫妻は、晴れて里親になる資格を得ました。
すぐに、里親が必要な子供がいるという電話を受けた二人。急いでショッピングセンターでオムツや粉ミルクなど必要な物を買いそろえ、子供を迎えに行きました。
やってきたのは、生後8日目のハンターくん。愛らしいハンターくんは、すぐに夫妻の心をつかみ、かけがえのない存在になりました。
「(ハンターは)私たちの薬になりました。私たちが病気と闘うのも、ハンターのためとなったのです」
まさに、夫妻が抱えていた人生の「なぜ?」という疑問に対し、答えを与えてくれたハンターくん。
年月が過ぎ、夫妻はハンター君の本当の親になることを決心しました。
2017年12月18日、煩雑な手続きを終えて、公式にハンターくんがパルマ―夫妻の息子として認定される日。3人は裁判所で養子縁組の判決文を読み上げる判事の声を聞いていました。ハンター君につけられる公式な名字「パルマー」と判事が言うと、ハンターくんは「パパ!」と叫び、うれしそうに手をたたきました。
晴れて、公式に家族と認められたパルマ―夫妻とハンターくん。3人にとって忘れられない日となりました。
「いつも嵐の後には必ず虹が現れるのだということを学びました。あきらめなくてよかった」と話すマンディーさん。
二人の存在意義を示してくれたのもハンター君でした。
「夫も、ハンターが息子になってくれたことが、PTSDを治すどんな薬よりも有効だったと語っています」とマンディーさんは話しています。
(翻訳編集・郭丹丹)