中国機構改革、法輪功迫害機関「610弁公室」を格下げ
中国当局は21日、政府機構改革計画の詳細を公表した。そのなかで、気功グループ、法輪功を弾圧するために1999年に創設された「党中央邪教問題を防止および処理する領導小組弁公室(いわゆる610弁公室)」に関して、今後司法・検察・公安などを主管する「党中央政法委員会」(政法委)と公安部の指導を受けるとした。
習近平当局が実質的に、これまで単独の権力機関として運営されてきた「610弁公室」の独立性を廃止し、同機関の等級を下げることにした、とみられる。
江沢民・元総書記は、1999年6月10日、法輪功を弾圧する直属機関「党中央法輪功問題を処理する領導小組弁公室」を設立した。設立日にちなんで「610弁公室」と呼ばれた。翌に、同弁公室の名称は「党中央邪教問題を防止および処理する領導小組とその弁公室」に変わり、同時に「国務院邪教問題を防止および処理する弁公室」の看板をもつけ、610弁公室は党の直属機関だけではなく、国の行政機関でもあると位置づけられた。
時事評論員の夏小強氏は、610弁公室はナチス・ドイツの秘密警察機関「ゲシュタポ」のように、中国共産党の法制度をしのいでいると指摘する。同組織は、法政委を通じて、中国の警察、裁判所、検察院、国家安全、武装警察などの司法機関を支配し、同時に中国の外交、軍、教育、衛生医療などの部門に対して指令も出せるため、共産党のもうひとつの指導部でもある。
中国国内の法学者は大紀元の取材に対して、「610弁公室の格下げは、実に同組織の廃止を意味する」とした。しかし、「610弁公室の法輪功弾圧の任務は政法委と公安部に引き継がれる。弾圧はまだ続く」と批判した。今後、政法委が弾圧の指揮を執り、公安部が執行するとみられる。
610弁公室がさらに弱体化
在米中国問題の専門家、横河氏は610弁公室の創立当時から現在までのいくつかの変化を指摘した。
99年6月に設立された当時は、610弁公室は最高指導部である中央政治局常務委員会レベルの組織だった。当時の政法委のトップは中央政治局常務委員より下級の中央政治局委員であった。
02年、政界退任の前の江沢民は、将来、自ら独断した法輪功への迫害をめぐって法に処罰されるのを恐れて、政法委のトップと610弁公室のトップを羅幹に集中させ、羅を中央政治局常務委員に昇格させた。その後の周永康も同様に、中央政治局常務委員でありながら、政法委のトップを務めた。
12年党大会以降、政法委のトップである書記の職と、610弁公室の等級がそれぞれ中央政治局委員に格下げられた。
横河氏は、「今回の機構改革で、610弁公室の組織の弱体化が一段と進んだ」との見解を述べた。
横河氏は、19年間弾圧の目的で形成された、江沢民派を中心とした利益集団は、610弁公室の独立性を失うことで、一定の打撃を受けると予測した。「99年以降、中国共産党の政府機関の設立と党内の権力闘争は、ほとんど法輪功問題に起因している。目的は江沢民派が法輪功の迫害で、将来法的な処罰から逃れるためだった」
しかし、迫害が今まで続いているのは中国共産党の邪悪な本質と関係する。「共産党が存在する限り、その闘争もさまざまな形で継続していく」と横氏が指摘した。
一方、夏小強氏は、当局の610弁公室への組織改造で、中央から地方の末端組織まで、610弁公室の人員が大量に削減され、法輪功迫害のため投入されるばくだいな資金も削減される可能性が高い、とした。
中国公安部が00年と05年にそれぞれ発表した、『邪教組織を認定し取り締まることに関する公安部の通知』によると、中国共産党中央弁公庁、国務院弁公庁と公安部が認定した14の邪教組織に、法輪功は含まれていない。
(翻訳編集・張哲)