米国大使館、中国人の入国ビザ拒否が増加 10年ビザの却下も

中国共産党政府による知的財産流出防止のため、在中国米大使館で入国ビザ申請の却下件数が増えている。製造大国への政策「中国製造2025」を掲げる共産党政権に対して警戒を強める米トランプ政権は、特に中国人の技術系技能取得のための留学生および研究者のビザ審査を厳格化した。

中国商務部は5月、米国務省の声明を引用して、「中国製造2025」に関わる技術分野で、米国で研究を予定する中国人に対する米国入国ビザに、短縮や規制が設けられると通知した。執行は6月11日から。

ある中国人の知識人は8月、英文サウスチャイナ・モーニン・グポスト(SCMP)の取材に応じて、米大使館は10年間の複数回入国ビザ申請を拒否したと述べた。却下理由は説明されていないとという。

北カリフォルニア拠点の万通中国コンサルティング・ネットワークによると、最近、旅行ビザを含め中国人に対するアメリカ入国ビザの拒否率が急上昇している。また、米国税関も中国人の審査を強化しているという。

仏ラジオ・フランス・アンテナショナルによると、一人の中国人の米中関係研究者は、米国領事館では面接があり、さらに長い審査過程が設けれ、複数の情報を提供する必要があるという。また、数人の研究者も米国渡航ビザが下りなかったと述べた。

米諜報当局は、中国共産党政府が、中国人留学生や科学者を通じて、米国の科学研究の機密や知的財産の窃盗を行っていると非難している。ビザ抑制は、米国の安全保障上に関わる技術分野のリスクを抑えることを目的としているという。

トランプ大統領は今年、中国政府は世界的製造強国を掲げる政策「中国製造2025」を達成するために、外国から技術を盗んでいると発言し、さらに、中国人留学生はほぼ全員スパイと公言している。

「中国製造2025」はハイテクや宇宙など10の分野で中国の製造能力を向上させる産業振興計画。

テキサス州拠点のデータ検証サイトCheckee.infoによると、2018年1月から6月にかけて、2000人以上の中国人学生が、通常より厳格な米国ビザ審査を受けた。この数は前年同期では1500人未満だった。

ロイター通信11月は複数の米高官や議会関係者の話として、トランプ政権は米国留学の審査を厳格化のために、ビザ申請者の電話の通話記録やSNSのIDの調査が検討されていると報じた。また、米大学教員に対するスパイ審査トレーニングも考えられている。

入国ビザ制限措置は2017年12月、トランプ政権の国家安全保障戦略白書のなかでも示されている。「これまでと異なる方法で経済的な情報を収集される被害を減らす」目的で、科学、技術、工学、数学を学ぶ外国人留学生のビザを制限すると記している。

(編集・佐渡道世)

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