GettyImages

心だけじゃない、身体にも温もりをもたらす

過去の懐かしい思い出は心を温めるものだが、研究によると、ノスタルジアに浸ることは寒さへの耐性も高めるという結果がでている。サウサンプトン大学の研究者が科学誌「Emotion」に発表した。

研究では、中国とオランダの大学からのボランティアの協力で、下記の5つの実験が行われた。

実験1:参加者に30日間、懐かしさを感じた日の記録をつけてもらった。その結果、寒い日の方がノスタルジアに浸ることが多いという傾向がみられた。

実験2:肌寒い(20℃)、快適(24℃)、暑い(28℃)という異なる室温の部屋のいずれかに被験者に入ってもらい、どの程度懐かしいと思う感情が湧くかを調べた。寒い部屋に入った人が最も懐かしさを感じるという結果が出た。残りの二室では差異はみられなかった。

実験3: オンラインによる実験で、被験者にノスタルジアに浸るような音楽を聴いてもらい、温もりとの関連を尋ねたところ、肉体的に暖かみを感じると回答する傾向がみられた。

実験4:被験者に寒い部屋に入ってもらい、一つのグループには懐かしい思い出に浸ってもらい、もう一つのグループには過去の平凡な出来事を思い出してもらい、その後、室温を推定してもらった。その結果、懐かしいことを思い出したグループに属する被験者のほうが室温を高く推定した。

実験5:実験4同様に、一つのグループには懐かしい思い出に浸ってもらい、もう一つのグループには平凡な出来事を思い出してもらった後 、手を氷水に浸してもらった。懐かしい思い出を回想していた人の方が、冷たさを長く我慢した。

この調査に携わったティム・ウィルシャット博士(Tim Wildschut)は、次のように結んでいる。「過去の懐かしい思い出が心の慰めや孤独に耐える力となることは知られている。今回の調査の結果、 過去の楽しかった思い出、肉体的な心地よさの記憶は、身体にぬくもりをもたらし、耐寒力も高まることが判明した。ノスタルジアが、寒さ以外の肉体的な不快感に打ち勝つものかが今後の研究課題だ」

(翻訳編集・緒川)
 おすすめ関連記事:目にダメージを与える8の生活習慣
 

関連記事
うつ病は一般的な心理疾患であり、外部のストレスと関連している可能性があります。それは心理だけでなく、身体的および生活面にも影響を与えるため、軽視すべきではありません。うつ病は仕事にも現れると言う専門家もおり、よくある5つの仕事の癖があれば、うつ病の可能性があるということです。
 【大紀元日本4月23日】健やかでたくましい成長を願い、幼い男の子に送られる五月人形。人形のモデルはあの有名な金太郎です。しかし、話の内容に関しては、他の御伽噺と比べて一般的に認知度が低いようです(フ
新型コロナウイルス(COVID-19)が世界中に広がり続けている。最近の研究で、プロバイオティクスは、新型コロナワクチンを接種していないが、感染者と接触したことのある人の感染リスクと症状を軽減することがわかった。
OpenAIの元創業メンバーであり、マーケティングを担当していたシニアディレクターのザック・カス(Zack Kass)は、インタビューで、AIの持続的な発展により、ビジネス、文化、医学、教育などの人の職業や専門職を取って代わるだろうと語り、将来、人の雇用が減少し、そして「おそらく人類最後の技術的発明」になるだろうと心配しています。
5月16日は、松尾芭蕉が奥の細道へと旅立った日(元禄2年=1689年)です。