どんな境遇の女性でも、手軽に乳がんの早期発見が出来るようになれば・・・。
19歳のメキシコの青年、フリアン・リオス・カントゥさんのその願いは、画期的な発明を生み出しました。そのきっかけは、母親の乳がんでした。フリアンさんの母親の乳がんは早期発見のチャンスがあったにもかかわらず見落とされてしまい、両乳房を切除するほど悪化してしまったのです。
母親は一命をとりとめましたが、精神的にも肉体的にもダメージを負ってしまいました。このつらい経験を他の誰にも味わって欲しくない。その切なる想いが、初期の乳がん細胞を検知する特別なブラジャーを開発する原動力となりました。
フリアンさんは友人アントニオ・トレスさんはじめ、優秀な仲間を誘い「Higia Technologies」という会社を設立。乳がんについて徹底的に調査し、試行錯誤を繰り返しながら乳がん検知ブラジャーを開発しました。「EVA」と名付けられたこのブラジャーには高性能温度センサーが組み込まれており、乳房全体の熱の分布を知る事が出来ます。がん細胞には増殖する際に普通の細胞より熱をたくさん放出する特性があり、「EVA」はこの温度変化を検出し、乳がんの早期発見につなげていくのです。
Higia Technologiesの発明には多くの企業が興味を示し、アメリカの投資会社からの12万米ドル(約1300万円)の投資を筆頭に、多数の資金援助を受けています。これらの資金援助は、「EVA」の価格を低く抑えたいと考えるフリアンさんにとって、とても重要でした。
彼は「お金のあるなしが女性の健康リスクを左右すべきではない」と信じているからです。「乳がんに対する知識や個人医療保険がない限り、メキシコのような発展途上国では『死』に直面してしまうかもしれないんだ」とフリアンさんは危惧しています。
「EVA」を用いて事前に乳がんを検知する事が出来れば、そのための検査に行く必要がありません。また、誤った自己診断を減らすことも出来ます。経済的に満足した医療を受けられない女性にとって、この事は生きるか死ぬかの境目になるのです。製品化された「EVA」には既に予約注文が舞い込んでいます。フリアンさんは今後更に、医学的検査を続けていく方針です。
フリアンさんの発明は、世界中の女性の人生を変えるものになるかもしれません。この画期的な発明をもっと多くの人に知ってもらい、共に乳がんと闘っていきましょう。
(大紀元日本ウェブ編集部)
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