評論
G20米中首脳会談開催へ、中国当局 北朝鮮・イランを切り札に
香港で「逃亡犯条例」改正案に反対する大規模な抗議デモが行われた後、中国最高指導者の北朝鮮訪問や、米国とイランの対立激化が相次いで報じられた。18日、習近平国家主席とトランプ米大統領が電話会談を行い、大阪で開催されるG20サミットで、貿易などの幅広い議題について、首脳会談を行うと約束した。筆者は、中国当局が交渉のテーブルに、米国に北朝鮮とイランカードを切り出すとみている。
中国国営新華社通信は17日、習近平国家主席が北朝鮮の金正恩・朝鮮労働党委員長の招待に応じ、20~21日までの日程で同国を公式訪問すると発表した。習近平氏が2012年、中国共産党の最高指導者に就任してから、初の訪朝となる。また、中国当局の国家主席が訪朝するのは約14年ぶり。
この訪朝発表のタイミングに注目したい。香港ではその前日の16日、中国国内への犯罪容疑者の移送を可能にする「逃亡犯条例」改正案の撤回を求めて約200万人の市民が抗議デモを行った。香港市民は、改正案の通過で、香港における高度の自治と言論の自由が失われ、本土に身柄を引き渡される反中国共産党体制の活動家が急増することを危惧し、過去1週間に3回の抗議活動を展開した。
関連記事
大阪G20サミット開催前、京都で宗教の観点から現代社会の問題を話し合う、G20諸宗教フォーラムが開かれた。180人あまりの宗教指導者らが出席した。共産党体制下の中国では、信仰を理由に囚われた無実の人々が、臓器を強制的に摘出されている問題が10年以上続いており、今回のフォーラムでは生命科学と倫理に関する議題の一つに盛り込まれた。
G20サミットのため日本の大阪に滞在中のトランプ米大統領は、29日朝、次の訪問先の韓国で、北朝鮮との軍事境界線で金正恩朝鮮労働党委員長と面会する意向であることを明かした。
安倍首相は28日午前8時半、貿易と地域の安全保障を議論するため、米ドナルド・トランプ大統領と20サミット開催前の二国間会議を行った。
安倍晋三首相は27日、中国の習近平国家主席との会談で、「一国二制度」の下で自由で開かれた香港の繁栄が重要だとの考えを伝えた。
欧州連合(EU)は、東京電力福島第一原発事故を受けて始めた日本産食品の輸入規制を緩和する見通し。27日、安倍晋三首相はEUトゥスク大統領、ユンケル委員長と大阪市内で会談した。EU側は、福島県産大豆などの規制除外を伝えたという。