娘は約束を守った八百屋の老人と結婚し、仙人と縁を結んだ
揚州に張老という八百屋の老人がいた。彼の隣人の役人韋恕の長女は成年の15歳になったので、仲人に頼み、良い結婚相手がいないかと探していた。
張老はこの話を聞いて、仲人に自分を推薦してくれないかとお願いしていた。そのお願いを聞いた仲人は、張老を罵倒し、その場を去っていった。
数日後、張老はもう一度仲人に頼み込んだ。仲人は張老は相応しくない結婚相手としてありえないと思っており、その頼みを断った。張老はどうしても結婚相手に推薦して欲しくて、何度も仲人にお願いした。
張老の執着に負け、仲人はこの話を伝えるため、韋恕の家に行った。韋恕はその話を聞いてとても怒った。
仲人は韋恕に事の全てを話したが、韋恕の怒りは頂点に達し、「もし今日500枚連なった金貨を支払うことができるなら、この頼みを認めてやろう!」と答えた。ただの八百屋の中年男にこんな大金の持ち合わせはないと思っていたその時、中年男は荷車を引っ張ってきており、さらにそこには代金が用意されていて、500枚の金貨を支払った。
韋恕はこの光景を目の当たりにして、ひどく驚いた。ただの八百屋なのにどうしてこんなに大金があるのか。韋恕は娘にも聞いた。それを聞いた娘は冷静に“これは運命ですかね”と囁いた。
約束を果たした張老は韋恕の娘と結婚した後、いつも通り野菜を作り、妻となったは韋恕の娘は家事につとめた。恥ずかしい気持ちはもっていなかったが、韋恕の親戚は彼らの事がものすごく嫌いにだった。
数年後、その里の人間は韋恕に“どうして娘をその中年男と結婚させたのかと聞いた。それにもう娘は結婚したのだから、追い出すことはできないのかと問いただした。
その話を聞いた韋恕は、宴の準備をして、張老と娘の二人を招いた。酒を飲んだ後、その雰囲気に乗じて、この里から出ていって欲しいと伝えた。張老はこの宴の意味をすぐ理解し、“私たちがこの里を出ていかない理由は、あなた方が妻のことを心配すると思っていたからです。ですがそんなに私たちのことが嫌いなら、この里から出ていっても構わない!”と答えた。
張老と妻の2人は里を出て行く前に、韋恕に別れの挨拶をし、「もし私たちにまた会いたいなら、あなたの息子に頼み、天壇山南という場所で会いましょう。」と伝え、里を去った。
数年後、韋恕はすごく娘に会いたくなり、息子の韋義にお願いし、韋義は張老と娘を探しに行った。韋義が天壇山南に到着した時、その家は凄く華やかで、妹も綺麗な服を着ていた。しかもその服はこの世の中に存在しない服であり、もてなされた料理も見たことがないものだった。
次の日の朝、「妻と一緒に蓬萊山という場所に行こうと思っているので夕方頃に帰る予定です、韋義はここで休んでいても良いですよ」と張老は笑って伝えた。
二人は鳳凰に乗って、空に消えていった。そして予定通り、夕方頃に家に帰ってきた。