夢の中で神さまが授けた3つの技術

中国清初の思想家・黄宗羲は自分の著書『王徴南墓誌銘』の中で太極拳創始者・張三豊に関する不思議な記述をしています。それは張三豊が、玄武大帝が自分に拳法を教えてくれたを見たという逸話で、張三豊はその後、一人で百人を倒す通力を持つようになりました。

夢の中で技術を授かるという言い伝えは近代にも多くあります。3つの例をご紹介しましょう。

エッチング

英国の詩人であり画家のウィリアム・ブレイクは、1787年に弟が病気で亡くなった時に弟の魂が体から離脱したのを見たと言いました。その時、弟は両手を合わせて嬉しそうに天井を突き抜けて去って行きました。その後、弟は何度か会いに戻って来て、ある時、夢の中でエッチングの原理を教えてくれました。

防水性のある材料を用い、文字とデザインを銅版に描いてから腐食液に浸します。文字とデザイン以外の部分が腐食するとその凸した部分を利用して印刷ができます。

育毛剤

マダム・CJ・ウォーカーはアメリカ初のアフリカ系女性大富豪です。

20世紀初頭、彼女は増毛剤を販売して大成功を収めました。当初彼女は自分の抜け毛を改善しようと市場で売られているヘアケア製品をいろいろ試しましたが、抜け毛は全く改善されませんでした。

そのあと彼女は理髪店を経営する兄弟から髪の毛の手入れと知識を学び、ヘアケア製品を自ら開発して販売に乗り出しました。伝記『マダム・CJ・ウォーカー』の中で彼女は記者の取材にこう答えています。

「神は私の祈りに応えてくださいました。私は夢を見たのです。夢の中に現れた体の大きな黒人男性が私に髪の毛のためにどんな材料を使えばいいのかを教えてくださいました。一部の材料はアフリカにしか生息していないものでしたが、それを入手しました。調剤されたものを自分の頭皮に塗ってみたら、数週間後には生えてくる髪の毛が抜け毛よりも多くなりました。友人たちにも試してもらい効果があったので、世に出すことに決めたのです」

刀工

台湾の刀鍛冶の名人・陳世聰さんが作ったは岩石を真っ二つに切断することができるだけでなく、剣を思い切り曲げてもすぐ真っ直ぐに戻ります。

仏教と道教において、剣は古くから法器の一つとされています。中国において剣の鍛治技術はすでに途絶えて3千年間の歳月が経っています。刀鍛冶を始めた陳名人はいろいろと研究をし尽くしましたが、刀剣の製造技術における最も難しい部分は夢の中で神から授かったのだと明かしています。

「ちょっと不思議ですが、いつも夜、休んでいる時に教えに来てくださります。刀鍛冶の職人たちは中国刀鍛冶の元祖である歐冶子に仕えています。神に対して敬虔な心を持っていれば、必ず応えてくれて知らず知らずの間に授けてくださるのです」

陳名人が最も多く伝授を受けたものは、長い間伝承が途絶えていた剣の王様と呼ばれる「七星剣」の製造技術です。この剣は四天王が持つ法器の一つと言われています。

穏やかな気持ちで精神が集中できるようにするために、陳名人は鍛冶を行う前に必ず坐禅をします。

陳名人によると、剣は「活剣」と「死剣」に分けられ、「活剣」は鍛治の過程で人間と大自然の精華の気を吸収します。また、剣の出来具合は、刀鍛冶が道徳を重んじ、身を修め、行いを正しくしているかどうかによって変わるといいます。

※※エポック・メディア・グループ 新唐人より転載

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