北朝鮮のウラン鉱山で被曝 住民はガン、先天性欠損症に=報道
北朝鮮のウラン鉱山の近くに住んでいる鉱山労働者とその家族は、放射線被ばくに起因するさまざまな病気や先天性欠損症に苦しんでいる。政府当局は数年ごとに労働者を交代させ、内部告発者が現れないよう、疾患により村を離れようとする人々を「精神病院」とされる施設で拘禁している。
米連邦議会が出資するラジオ・フリー・アジア(RFA)は8月21日、順天市近くの南ピョンガン州トンガム村にあるウォルビサン鉱山の労働者が、鉱山管理者から防護服なしで働くことを余儀なくされていると報じた。
「村では、鉱夫とその家族が難病やさまざまな種類のガンに苦しんでいる。特に、多くの人々が肝臓ガンで死亡した」「住民は放射線にさらされた食品や水を飲んでいる」と匿名の情報筋はRFAに語った。
中央政府当局は、食糧配給の追加を約束することで、鉱夫たちにさらなる採掘量の増加を励ましている。「鉱山から採掘された鉱石は、覆いのある貨物トラックで、どこかに運ばれる」「目的地は秘密にされていて、不明だ」と同情報筋は述べた。
鉱山労働者たちは現在、突然の原因不明の病気に襲われ、苦しんでいる人々は数カ月以内に死亡する。また鉱夫たちは生殖器の機能不全にも悩まされている。鉱夫の妻が、先天性欠損症の赤ちゃんを出産することもあるという。
「心配する鉱夫が、鉱山管理委員会に辞任を求めているが、役人は単に『精神疾患を引き起こした』として、彼らを同州ヤンドク[郡]の精神病院に閉じ込めている」
動員される退役軍人
RFAは中朝国境の東莞で、北朝鮮の南ピョンガン出身の情報筋から話を聞いた。それによると、北朝鮮の朝鮮労働党中央委員会が、3年ごとにウォルビサン鉱山の労働者を退役軍人に置き換えていると述べた。放射線にさらされる鉱山労働者の間で、難病が発症しているためだという。
村に十分な水は供給されているが、その水はウラン鉱山周辺を流れる水源から来ている。「住民と子どもたちは放射線に汚染した水を飲まざるをえない」「鉱山町の子どもたちには、原因不明の鼻から出血するなど健康上の問題の兆候があらわれている。それにもかかわらず、当局は『問題はない』と言っている」
情報筋は、住民たちへの被害調査、疾患への補償などの動きはないという。「そのかわりに、鉱山を離れたがったり、放射能汚染について話したりする人々を逮捕している」と情報筋は述べた。
トンガム村の鉱業地域におけるガン、不妊症、先天性欠損症の報告は、放射線被ばくに起因する可能性があると専門家は見ている。ソウルの東国大学元教授で韓国原子力安全保障委員会委員キム・イジュン氏は「特に地域の子どもたちは、放射線による比較的重大な影響を受けやすい。徹底した水質管理を実施する必要がある」とRFAに述べた。
イジュン氏は「ウラン鉱山で保護装備なしで作業にあたるのは危険だ。塵を吸い込み、呼吸器を通して放射線にさらされる恐れがある」と付けくわえた。
(翻訳編集・佐渡道世)