死にゆく兵士へ リンカーンが優れたリーダーであった理由
アブラハム・リンカーンが米国の16代大統領に就任後すぐに南北戦争が勃発した。米国最大の内戦時代に亡くなった兵士に向けたリンカーンの思いやりのある行動は本やソーシャルメディアを通じて広く知られている。
ケンタッキー州の貧しい家庭で育ったリンカーンは、たった9歳で母親を当時多くの人が命を落としたミルク病で失った。少年期には赤ちゃんを産んですぐに亡くなった年上の姉の死を見た。
アメリカの伝記を執筆しているケアンズ・グッドウィンによると、リンカーンは人生の早い段階での苦闘により、思いやりや相手への配慮ができるようになった。
リンカーン大統領の思いやりは全ての人々に対するもので、その人々の中にはアメリカの自由の為に究極の犠牲を払った負傷兵もいた。
南北戦争時の北軍の大将であったウィリアム・テカムセ・シャーマンはリンカーンの“全ての人々の苦悩を共有する優しい性格、深く、真剣な思いやりが南の敵軍を進行させ内戦をもたらした”と綴った。
思いやりから、リンカーン大統領は戦時中、戦場の負傷兵を見舞い、何度も病院に足を運ぶために長旅をした。彼は優しさと思いやりのある言葉で兵士を奮い立たせようとした。
ある訪問で、医師がリンカーンを死にゆく若い兵士の元へ連れて行った。大統領は彼のベッドの側まで行き、尋ねた。“私があなたに出来ることはありませんか?”
その衰弱した兵士は彼の目の前に立っている人物が大統領だと分からなかった。彼が誰だか分からずにある難題を大統領に囁いた。“私の母に手紙を書いてもらえますか?”
リンカーンはその兵士が言ったことをきちんと注意深く一枚の紙に書き留めた。
“私の大切なお母さんへ、私は任務中に大けがを負いました。残念ですが、治らないと思います。どうか私のためにあまり悲嘆に暮れないでください。私のためにメアリーとジョンにキスを。あなたと父が祝福されますように”と兵士は言った。
息も絶え絶えになり兵士は言うのを止めた。そして、リンカーンはそのレターにこうしたためた。“あなたの息子のために、アブラハム・リンカーンが記す。”
兵士はリンカーンが代筆したメモを見て、その終わりに“アブラハム・リンカーンの”サインがあったのに驚いた。“あなたは本当に大統領ですか?”その兵士は尋ねた。
リンカーンは“はい。そうです。”と答え、他に何ができることはあるかを尋ねた。
兵士は言った。“手を取っていただけますか?最後を看取って欲しいのです。”
静かな部屋で、背の高い大きな大統領はその若者の手を取り、彼の息が途絶えるまで励ました。
国民の声に耳を傾ける心と思いやりを持つリンカーンは、間違いなく優れたリーダーであった。我々もリンカーンの行いに従い、苦難を経験している人に対して思いやりを示すべきだ。
(大紀元日本ウェブ編集部)