掛谷英紀コラム
左翼を論破する方法(前編)
日本の保守派には、頭の切れる論客らしい論客はあまりいない。しかし、英語圏には左翼を次々論破することで知られる論客が何人かいる。その代表格が、ジョーダン・ピーターソン(Jordan Peterson)とベン・シャピーロ(Ben Shapiro)である。
ジョーダン・ピーターソンは1962年生まれで、現在トロント大学の心理学の教授をしている。臨床診療の経験も豊富で、過去にはハーバード大学で教鞭をとっていたこともある。彼は、現代の左傾化した学問に対して、厳しい批判を繰り返していることで知られる。中でも、ジェンダー代名詞(男性、女性形以外の代名詞)の使用を強制する条例を批判したことは有名である。
ラディカル・フェミニズムは、日本だけでなく北米でも猛威を振るっている(むしろ、日本は欧米を追従しているに過ぎない)。それに対するピーターソンの分析は的確である。フェミニズムは能力(competence)を尺度にした評価を全て権力(power)の問題にすり替える。そして、能力が不足しているゆえに達せられないことを全て家父長制(patriarchy)による抑圧のせいにして騒ぎ立てることで、自らの無理な要求を通す。フェミニズムは人間を個人として尊重しておらず、男性・女性という集団の一員としてしか見ない。だから、個々人がどういう生き方をしたいかを無視して、結果の平等を押し付ける。これがピーターソンの見立てである。現代のフェミニズム思想の核心をついている分析と言えよう。
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新型コロナウイルスのパンデミックで社会のリセットが起きている今、ポストコロナの時代に日本の大学がポリコレ難民を受け入れるという構想を検討するよい機会である。