「香港人の精神を本土に広げたい」 中国の大学生が香港デモに参加
「勇敢な香港の学生を目の当たりにし、中国人にはまだ希望があると感じた」
香港科技大学2年生の周梓楽さんは11月4日、警官隊の発射した催涙弾を避けようとして高所から転落し、8日に死亡した。これを受けて9日と10日、香港市民は、中環(セントラル)など各地で集会や抗議デモを行った。この中に中国本土の大学生、禅保羅さんの姿があった。
禅さんは身の安全のために平和派の集会や抗議活動に参加した。
「微力ながら、香港市民の自由を求める声を中国国内に伝えたい。中国本土の人々にその精神を受け継いでほしい。これによって、香港に続き、中国本土でも民主化を求める声が広がるだろう。(中国共産党政権から)香港だけではなく、新疆やチベットを含む中国本土も取り戻さなければならない」
6月に香港市民が抗議活動を始めてから、中国国内の多くの国民は沈黙を保っている。「中国当局からの圧力というよりも、私の学友も含む多くの人は香港情勢について正しい認識を持っていない」と語る禅さん。
禅さんも以前、中国当局のプロパガンダや洗脳教育で、国内外で起きた事件の真相や民主化運動を正しく認識できなかった。
「高校生の時、先生が授業中に法輪功学習者の『焼身自殺』について話したことに疑問を持った。これがきっかけで、まず国内インターネット上で法輪功について調べた。しかし、ネットの情報は先生の話と全く同じだった。さらに疑問を感じたため、仮想プライベート・ネットワーク(VPN)を使って、海外ウェブサイトにアクセスして、真実を調べ始めた」
禅さんは、海外メディアと中国政府系メディアの報道を比較して、「官製メディアの記事の方が疑わしいと感じた」と話した。海外のサイトから得た1989年の天安門事件や法輪功弾圧の情報を周りの友人に話しても、信じない人もいたという。「仕方がない。私たちは生まれてからずっと、騙され続けてきた。考え方は簡単には変えられない。だから共産党の言うことに疑問を持つことが大事だ」
禅さんは、共産党の最大の敵は中国国民であるため、「アリババ集団創業者の馬雲氏などの大富豪も、政府に陳情し続ける強制立ち退きの被害者やネット金融詐欺の被害者も、チベット人、ウイグル人も皆、共産党の締め付けの対象だ」と語った。
(記者・駱亜/周慧心、翻訳編集・張哲)