虹色に輝く光の帯、オーロラ。通常は北極や南極など高緯度の限られた地域でしか見られないが、最近発生した磁気嵐に伴い北海道やニュージーランド、英国、そして中国西部でも確認されている。
名古屋大学の宇宙地球環境研究所は24日晩、同所の北海道陸別観測所で弱い低緯度オーロラを観測した。
めずらしいことに中国でもオーロラが確認された。党機関紙をはじめとする多くの国内メディアは夜空の彩る神秘的な現象を取り上げつつ、「新疆は良いところだ」と強調した。
中新社によれば24日、新疆ウイグル自治区カラマイ市でオーロラの撮影に成功したという。昨年1月にも同区の阿勒泰(アルタイ)地区で大気中の氷晶が光を乱反射してできる「光柱」が見られた。
新疆ウイグル自治区には童話の世界のような景勝地がいくつもあり、雄大な山岳景観が拡がる「新疆天山」は2013年、ユネスコ世界自然遺産に登録されている。
今なお続く人権弾圧
しかし、新疆をめぐっては中国共産党による広範な人権弾圧が行われていると報告されている。こうした人権弾圧を覆い隠し、印象を塗り替える目的で、当局は「美しい新疆」を強調する場合がある。
中国政府は新疆での人権侵害を一切認めておらず、強制収容の指摘については「でたらめだ」と一蹴している。情報統制も厳しく、中国語のオンライン検索には風光明媚な画像や動画ばかりが表示される。
米政府は21年1月、中国政府が同時地区のイスラム教徒や少数民族に対し、ジェノサイド(集団虐殺)と人道に対する罪を犯していると認定した。欧州連合(EU)も農業や製造業で強制労働が行われていると指摘し、EUや米国、英国、カナダが対中制裁を発動した。
人権弾圧や文化浄化の即刻停止を求める国際社会の声もむなしく、中国政府による弾圧はいまなお続いている。
日本でも印象操作
こうした中国共産党による印象操作は日本に顕著な例がある。それが、21年に中国の駐大阪総領事館が企画した「新疆ツアー」だ。
「中国新疆ウイグル自治区といえば美景!美食!美人!」と銘打って日本人限定のツアー参加希望者の情報登録を募った。報道機関は参加できない。
ツアーは当初より、収容所など敏感な地域は一切見せないプロパガンダ工作の一環ではないかといった声が上がっていた。米国在住の時事評論家・唐靖遠氏は、「外国人に中国のナラティブを語らせるための対外宣伝戦術だ」と指摘している。
大阪領事によれば新疆ツアーは「今年6月から順次実施」予定で調整を進めているという。
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