武漢で相次ぐ原因不明の肺炎、新型コロナウイルス検出 日米などが注意喚起
世界保健機関(WHO)は8日、中国湖北省武漢市で発症が相次ぐ原因不明の肺炎について、新種のウイルスの可能性があると発表した。中国当局による臨床検査の結果、重症急性呼吸器症候群(SARS)や中東呼吸器症候群(MERS)を発症させたコロナウイルスの仲間で、インフルエンザ、鳥インフルエンザなどの病原体の可能性は排除されている。
中国の湖北省武漢市当局は5日、昨年12月以降、原因不明の肺炎の感染者が59人確認されたと公表した。8日、症状が回復した8人は退院したと伝えられた。
各国政府は感染拡大を警戒している。在中国の米国大使館は7日、ウェブサイトで、中国に渡航する米国人に向けて健康の注意喚起を発令した。日本や台湾などのアジア各国の政府も対応を急いでいる。
米国大使館は、武漢に渡航する米国市民に対して、動物との接触を避け、地元の市場に立ち寄らず、加熱不足の肉料理を食べないようにと警告した。また、武漢市を訪れた後、体調不良が起きた場合、直ちに医療機関を受診するよう呼び掛けている。アメリカ疾病予防管理センター(CDC)は、原因不明の肺炎の感染リスクについて、「注意(Watch Level 1 Alert)」に指定した。
在中国の日本大使館は8日、ウェブサイトで、厚生労働省検疫所の注意喚起を掲載した。武漢市からの帰国者や入国者に対して、咳や発熱などの症状が見られた場合、検疫官に自己申告するよう促した。また、帰国後に咳などの症状がある場合はマスクを着用するなどして、武漢市での滞在歴を申告し、医療機関での受信を呼び掛けた。
中国当局は、容易に人から人に感染するようには見えないとしている。
香港大学のウイルス研究家の潘烈文(Leo Poon)氏は、米CNNの取材に対して、ヒトからヒトへの感染の可能性が依然としてあると指摘した。「呼吸器ウイルスは一般的に、人の間で流行することができる」
WHOは5日、中国での感染状況を注視しており、中国当局と「綿密に」連絡を取り合っているとした。
中国では今月25日に旧正月を迎える。大型連休中、大勢の市民が帰省や国内旅行、または海外旅行に出かけると予想される。このため、台湾、香港、韓国、シンガポールなど各国の政府は、帰国者や入国者を対象に、空港などの検疫体制を強化し、または注意喚起を行っている。
韓国の疾病管理本部は1月8日、国内で肺炎の疑いのある患者が1人確認されたと発表した。同患者は武漢市を訪問した36歳の中国人女性だという。
また、香港政府は同日の正午12時までに原因不明の肺炎の患者人数は38人に増えたと公表した。
(翻訳編集・張哲)