アフリカで進む中国企業の森林伐採 電子機器と木材の「物々交換」も
近年、中国はアフリカでの貿易を大幅に増加させている。米ジョンズ・ホプキンス大学研究プログラム「中国アフリカ研究イニシアチブ」によると、アフリカと中国の間の商業交流は2000年以降、少なくとも8倍に増加した。中国投資に依存している国は、違法な木材の取引に目をつぶっている。
中国国家林業局のLiu Kyong氏は、約180の中国の伐採企業がアフリカで活動している。「中国とアフリカとの協力と貿易は、今後も増加し続ける」と語っている。
中国はアフリカ諸国から、ローズウッドなどの木材を調達している。伐採地域には、世界で2番目に大きい熱帯雨林が広がるコンゴ盆地や、国連教育科学文化機関(UNESCO、ユネスコ)世界遺産のある地域も含まれている。
国際環境開発研究所は、2017年、アフリカの木材の75%が中国に出荷されたと推定している。また、中国での需要増加に伴い、取引は今後も増えると予想されている。
多くの場合、中国向けの木材は違法伐採されたものだ。米国に本拠を置く環境調査局(EIA)は、中国が違法木材の最大の輸入国であると述べている。
「中国の工場は生材を好む。このため、南米、アフリカ、アジアからの長いサプライチェーンは、丸材(皮をはいだだけの丸い木材)を加工のために中国に供給するという前例のない状況が生まれている」とEIAは報告書で指摘している。
カメルーン本拠の、環境および開発センター事務局長サミュエル・グイフォ(Samuel Nguiffo)氏は、採鉱プロジェクトを含む中国の大規模な投資を例に挙げ、同国は中国企業の投資に依存していると述べた。こうした依存状況が、中国企業による森林地帯の開発条件を緩和させたと指摘する。
2011年以来、スドーカメルーンヘビア(Sud-Cameroun Hevea、略称Sudcamスドカム)は101平方キロメートル(横須賀市や西宮市に相当する面積)の熱帯雨林を買い、ゴムの木栽培の農地に置き換えた。ここは、世界遺産のジャー(Dja)動物保護区から近く、地元住民から土地や資源を収用した。
スドカムは、シンガポールの天然ゴム大手ハルシオン・アグリ(Halcyon Agri)が管理する企業だが、ハルシオンは、中国国有コングロマリット傘下のゴム化学大手・中化国際(Sinochem International)がその過半数の株を保有している。
カメルーンに本拠を置く調査コンサルタントのサミュエル・アセンブ・ムボンド(Samuel Assembe-Mvondo)によると、同国首都ヤウンデにいる中国人は、違法な木材事業を進めるために、違法な資金の流れに関わっている。現地政府は、中国を怒らせたくないがために、貿易法の違反に目をつぶっているという。
問題を調査したムボンド氏によると、この違法な中国との取引では、まさに「物々交換」が行われている。中国企業は、カメルーンで伐採した木材を中国に出荷し、その「代金」の代わりに、中国から電子機器や衣類などの消費財をカメルーンに送っている。
「中国は現在、事実上森林破壊を世界中に輸出している」と、EIAの森林キャンペーンの責任者であるフェイス・ドハティ(Faith Doherty)氏は2012年の声明で指摘している。
EIAの報告によると、中国の国有企業は「戦略的役割」として、海外から木材を中国に持ち込んでいるという。世界各地から出荷される伐採製品は、中国の取引が約半分を占める。これには、先に述べた違法な取引は含まれていない。
(AMINDEH BLAISE ATABONG/翻訳編集・佐渡道世)