中国河北省邯鄲市の工場でマスクを生産している女性従業員。2020年2月28日撮影(AFP/Getty Images)

欧州で顰蹙買う中国のマスク外交 専門家「宣伝活動の一環」

危機的な状況の中でイメージを高めようとする中国共産党政権は、欧州イタリアから南米ペルーまで、各国に医療専門家を派遣し、マスクや人工呼吸器などの必要な物資を送っている。しかし、医療品の品質不良が相次ぎ報告され、ひんしゅくを買っている。

中国からの医療品の支援や販売を多くの国は当初、歓迎していた。しかし、オランダ、スペイン、トルコ、スロバキアなどが、中国から輸入した検査機器やマスクなどには欠陥があったと報告した。

「最初は肯定的に見られていたが、その後、世論は批判的になった」。米国の外交政策の専門家でワシントンのシンクタンク、ハドソン研究所の上級研究員であるピーター・ラフ氏は、大紀元英字版の電子メールで語った。 

オランダは3月28日、中国から輸入した130万枚のマスクのうち、60万枚を欠陥があるとして回収したと発表した。スペインとトルコ保健当局は、中国の会社から購入した検査キットの精度が30%以下だとして使用しないことにした。スロバキアのメディアもまた、同国が1600万ユーロで中国企業から購入した抗体検査機器は基準を満たしていないとして、「無駄」になったと伝えている。

 非難の矛先をそらす

共産党政権による「マスク外交」は、パンデミックの筋書きを変えるためのキャンペーンの一環だ。最終的な目的は、パンデミックの発生をめぐって情報を隠ぺいしてきた中国政府への非難をそらすことにある。

「中国の人道的な支援は、ウイルス拡散に対する中国の対応の不手際を隠ぺいし、経済も医療もギリギリにまで追い込まれ必死になっている欧州諸国を味方につけることだ」とラフ氏は述べた。

人道的支援と並行して、中共ウイルスは中国が発生源ではなく「米軍関係者が持ち込んだ説」という大規模な偽情報キャンペーンを展開している。

米ワシントンに拠点を置くシンクタンク、ヘリテージ財団の公共外交担当上級研究員、ヘル・デール氏は大紀元の取材に対して「彼ら(中国共産党政権)は批判をそらす傾向がある」と述べた。

また、チェコに拠点を置く中国に焦点を当てたシンクタンク、シノプシス所属の分析官、プロチャズコバ氏は大紀元に対して、「中国を救世主にする大規模な宣伝活動」の存在を指摘した。「中国が私たちを『救っている』と自慢しているが、各国の医療材料の不足は当初、中国を支援したことによるものだ」

欧州連合(EU)のジョセップ・ボレル外務・安全保障政策代表は3月23日発表の声明で、中国共産党の対外宣伝戦略について警告を発している。同氏は現在、(パンデミックの)筋書きをめぐる戦いの最中にあり、中国からの情報発信で、EU自体の信用を落とそうとする試みや、ヨーロッパ人全てがウイルス保持者であるかのように汚名を着せる事例が複数あるとした。「中傷者からヨーロッパを守る」と述べた。

中国政府は1 月下旬、感染が拡大し、医療用品の不足が深刻化していたため、国営企業とそのネットワーク、在外中国人団体を通して海外からの医療用品を入手した。

中国の税関は3月7日、1月24日~2月29日までに輸入されたマスク約20億枚、防護服約2500万着を検査したと発表した。

(翻訳編集・李沐恩)

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