感染症流行で使用増のビデオ会議アプリ「Zoom」FBIが乗っ取りを警告
中共ウイルス(武漢ウイルス、COVID-19)による世界的な危機をきっかけに、ビデオ会議アプリの利用者が増えている。米連邦捜査局(FBI)はこのほど、ビデオメッセージングサービス「Zoom」について、会議中に乗っ取りが米国内で発生しているとして警告を発した。
FBIは3月30日、メイン州、マサチューセッツ州、ニューハンプシャー州、ロードアイランド州などからの教育機関の乗っ取り事案を伝えた。同月下旬、ある高校では、教師がテレビ会議アプリ・ズーム(Zoom)を使ってオンライン授業を行っている最中、正体不明の男が突然入ってきた。男は、侮辱的な言葉を叫んだ後、教師の自宅の住所を口にした。別の学校でも、オンライン授業の最中、見知らぬ人がズームに接続してきたとの報告があったという。
FBIは、オンライン授業や会議の利用が増えるなかで、サイバーセキュリティへの取り組みに注意を払うよう促している。FBIは、授業を公開状態に設定せず、パスワードを設け、ソーシャルメディアで会議のリンクを公開しないなどを提案している。
外出自粛や抑制が広がるなか、ズームは現在利用者が増え、米国のアプリランキングでは1位、英国では2位となっている。ナスダックに上場する同社の株価は、140%増など急上昇した。創業者兼最高経営責任者のエリック・ユアン(袁征)氏の推定純資産は、今年に入ってから20億ドル以上増加し、56億ドルに達した。
一連の情報安全性への懸念について、米ニューヨーク州司法長官も、ズーム宛てに書簡を送っている。レティシア・ジェームズ長官は30日付の書簡で、利用者の急増に伴う「悪意ある人からの乗っ取り行為」に対応する、新たなセキュリティ対策について問い合わせている。
元FBI捜査官のブラッド・ギャレット氏は米ABCのなかで、オンライン会議アプリはサイバー犯罪のターゲットになっていると語った。「サイバー犯罪を行うものは、個人情報を盗むことを目的に、なりすましドメインを作成する」という。
米有力紙フォーチュンが発表する米企業の収入上位500社のうち、約60%の企業がズームのようなビデオ会議アプリを使用している。ギャレット氏は、サイバー犯罪者はこうしたアプリを通じて、企業の機密情報や従業員、顧客情報を盗む機会を狙っていると語った。
プライバシー侵害で集団訴訟
ズームに対して、プライバシー問題があるとして訴訟が起こされている。現地時間3月30日、ズームはユーザー情報を無断でフェイスブックに転送したとして、カリフォルニア州地裁に集団提訴が提出された。
訴状によると、ズームが「フェイスブックに十分な通知または承認なしに、ユーザー情報を明け渡した。数百万人のユーザーの個人情報を適切に保護することに失敗した」と主張している。
原告は、ズームによるプライバシー侵害は、カリフォルニア州の不正競争法、消費者法的救済法、消費者プライバシー法に違反していると訴えている。
ズーム社はデータの無断転送を指摘された後、データ共有に誤りがあったことを認め、データを転送するコードを削除した。
(翻訳編集・佐渡道世)