<中共ウイルス>スペイン第3党幹部ら、感染から次々回復 対中批判強まる
スペインの第3党であるボックス(VOX)党は4月17日、欧州議会に対して、中共ウイルス(新型コロナウイルス)について独立調査を行うことを求める決議案を提出した。
中共への責任追及
VOX党はこのほど、中共肺炎をめぐって、スペイン国内外で声を上げている。党首のサンティアゴ・アバスカル(Santiago Abascal)氏、党ナンバー2のハビエル・オルテガ・スミス(Javier Ortega Smith)事務局長、党のスポークスマンを務めるマカレナ・オローナ(Macarena Olona)下院議員は中共ウイルスに感染したと報じられたが、中国共産党への責任追及の姿勢を示したあと、ウイルス検査で陰性になったことがわかった。
同党は、17日に提出した決議案で、中共ウイルスの起源や、世界保健機関(WHO)と中国共産党政権の関係、中国の実際の死亡者数を調査するほかに、欧州連合(EU)にパンデミックを引き起こした中国当局に賠償金を請求するよう促した。また、同決議案は、一部の全体主義国家がこの世界的な危機を利用して、隣国やEU、EU加盟国を中傷するプロパガンダを強めると同時に、国内の反体制活動家や人権活動家を弾圧する可能性があると警告した。
スペインのホルヘ・ブサデ(Jorge Buxadé)欧州議会議員(VOX党所属)は18日、ツイッターで同決議案の内容を公開した。
回復
VOX党は欧州議会だけではなく、スペイン国会でも中国共産党に対して強硬姿勢を示した。4月9日、下院の本会議で、アバスカル党首はWHOと中国当局に近い関係にあるスペイン政府を批判した。党首は、「(スペイン政府は)今現在、WHOの言いなりになっている。理由は、WHOが中国(共産党)の独裁者に買収されたことにあるかもしれない」「皆さん、慎重に行動するようお願いしたい。われわれは自身を守らなければ、6カ月後、スペインは中国(の一部)になるかもしれない」と警鐘をならした。
アバスカル氏は3月12日、中共ウイルスに感染したと確認された。3月19日のウイルス検査で陰性結果が出て、中共肺炎の症状がなくなったと報道された。
一方、スミス事務局長は3月10日に感染が確認された。4月14日、同氏はツイッターで、「1カ月以上の隔離を経て回復した」とウイルス検査で陰性になったことを報告した。同氏は、ツイッターやインスタグラムに投稿した書き込みで、自宅での隔離期間を「充電」期間だと述べた。「この忌々しい中国(中共)ウイルス」と戦うために「スペイン抗体を補充していた」とのコメントとともに、隔離中に自宅で撮った写真を付け加えた。
オローナ下院議員は、4月13日のスペイン国営放送(TVE)のニュース番組「Los Desayunos」に出演した際、スペインでの共産主義の台頭を非難した。
オローナ氏は、スペインが直面している最大の不幸は「新型コロナウイルス」ではなく、スペイン政府が共産主義を推し進めることによって民主主義が抑圧されていることにあるとの認識を示した。また、同氏は「中国(中国共産党)はスペインに2つのものをもたらした。一つ目はこの伝染病の大流行である。二つ目は、共産主義の勢力拡大に有利な環境を作り上げたことにある」と語った。
オローナ氏も3月12日に中共肺炎に罹ったことがわかったが、数日後に回復し、下院の本会議にも参加した。
VOX党は2013年に結成され、「スペインを再び偉大に!」を政治スローガンに挙げている。2019年の総選挙で第3勢力に躍進した。
一方、ペドロ・サンチェス(Pedro Sánchez)首相が率いる第1党、社会労働党(PSOE)は、同国の最古政党にして、マルクス主義・共産主義を掲げ、親中国共産党路線をとっている。サンチェス氏は2018年6月に首相に就任し、同年11月末に中国当局との間で「戦略的パートナーシップ」を締結した。同月、スペインを訪問した中国の習近平国家主席と会談したサンチェス首相は、中国の巨大経済圏構想「一帯一路」に積極的に参加し、両国の経済協力を促進していくと表明した。
米ジョンズ・ホプキンズ大学の集計によると、4月20日時点で、スペインの中共ウイルス感染者は19万8674人となった。死者数が2万453人。サンチェス首相の妻、母親と義理の父親も感染したと報じられた。
スペイン王室のメンバーで社会主義活動家、「赤色のプリンセス」と呼ばれたマリア・テレサ・デ・ボルボン=パルマ王女が3月26日、中共肺炎のため死亡した。中共肺炎で亡くなった世界初の王室メンバーだ。
前述のオローナ議員はTVEの取材に対して、「共産主義者がスペインで最終的に勝利することが、われわれの最大の不幸となるだろう。重ねて強調したいが、(不幸の)原因は新型コロナウイルスそのものではない」と語った。
*スペイン在住のLiu YangさんとCarlos Iglesiasさんがこの記事に協力したことに感謝する。
(記者・徐簡/紹燕、翻訳編集・張哲)