母と子(YOSHIKAZU TSUNO/AFP/Getty Images)

親子の対話 幼児との接し方

現代の親は忙しく、子供とじっくり話しあう機会が少ないと言われています。しかし、幼児を持つ親御さんは、常に子供とのコミュニケーションを図ることが大切です。幼児の頃に親とじっくり接することが、その後の人間関係を構築する上で大きな役割を果たすからです。幼児期は正しい価値観を植え付ける時期であり、子供に自信を持たせ、他人との良い関係を築く基礎となるのです。

母と子(YOSHIKAZU TSUNO/AFP/Getty Images)

親子の交流が幼児の言語能力を伸ばす

幼児期の言語能力の発達は非常に重要です。幼児の社交性や知的能力は、言語能力の発達と密接に繋がっているからです。言語能力の低下が原因で、自閉症や学習障害などが引き起こされることもあります。多くの親は幼児期の言葉の習得は自動的に行われると思いがちですが、実は子供は生まれたときから個々に言葉の学習が始まるのです。

 幼児が言語を習得する主な方法は、親同士が話す言葉、また親が子供に話しかける言葉を聞くことです。文字、単語、センテンスを繰り返して聞き、受け入れた言語「理解力(Receptive language)」は、少しずつ幼児が自由に使える「アクティブ語彙(Active vocabulary)」となります。研究によると、子供は一文字を言えるようになるまで、少なくとも言語を繰り返し500回以上聞いているそうです。言語の習得のためには、親が幼児と接する機会を多く作り、努めて会話をする必要があるのです。

幼児期の親子の交流は、やがてお互いの信頼関係を築く

子供が幼い頃に、親との密接な交流関係を築くことは非常に大事です。基礎となる親子の交流がしっかりしていれば、子供は困難に遭遇したり挫折をした時に、素直に親に助けを求めることができます。そして親は、子供の心の変化にいち早く気づくことができるのです。

 親は、子供の話を真剣に聞くべきです。子供が発する言葉には自分の考えや意見、感情が含まれています。正しくない言葉使いであっても、その中には子供の心の叫びを含む多くの情報が隠されている場合があります。親は子供の言葉に耳を傾け、子供の性格や成長の過程を知ることが大切です。

 また、励ましの言葉であふれる会話は、子供に自分の言語能力と表現能力に自信を与えます。トラブルが生じたときの会話はさらに重要です。つつみ隠さず話し合うことで、問題を解決できるということを教えましょう。

子供の「なぜ?」に上手に答える

弱者である子供たちにとって、この世は複雑であり、挑戦に満ちています。多くのことが理解できず、それが彼らを不安にし、怖がらせるのです。子供との会話の中で、親は子供が疑問に思っていることを理解できるようになります。子供の疑問には、子供が理解できる言葉で答えてあげましょう。

 以前、夫の車が他人にぶつけられ、片方のドアが大きく凹んでしまったことがあります。息子は夫の車を見るたびに、「パパの車、どうしたの?」と聞きました。私はそのつど、原因を簡単に話し、車が「ぶつけられてあまりにも痛かったから、これからは運転には気をつけてね。もう傷をつけられないようにしてね」と言っていると伝えました。子供は私の話を理解しました。その後、私が運転をするたびに、「運転には気をつけて、あまり速く運転しないようにね。そうでないと車が痛くなる」と言うようになりました。恐ろしい車の事故は、子供の心に影を落としませんでした。かえって、車を運転する時の心得が分かったのです。

 また、子供がイライラしたり、怒ったり、不安になったり、泣いたりしたら、どうすればよいでしょうか。疲れたとか、喉が渇いたとか、お腹が空いたなどの原因のほかに、幼稚園などで嫌なことがあったのかもしれません。そんな時は、子供から上手に話を引き出してあげましょう。ぐずりの原因が分かれば、解決してあげられるかもしれません。

会話のチャンスをつかむ

共働きなどで忙しい親御さんは普段、子供とじっくり会話するチャンスが少ないかもしれません。

 しかし、普段の生活の中でも、ちょっとした事が会話のきっかけとなります。例えば、一緒に見たテレビ番組の内容について話し合ってもよいでしょう。また、食事をとるときや就寝前のほんのひと時も、子供と交流するチャンスです。

言葉の使い方に注意

親は、子供のよくできた点も、できなかった点も、まるごと受入れてあげましょう。それが、親子の交流をさらに容易にします。親に受入れられた子供は、さらに心を開くことができるからです。反対に、命令・皮肉・責め言葉、長いお説教は子供の心を離れさせます。

 例えば、子供が母親に「ママ、私一人で寝るのが怖い」と言ったとします。

 考えられる母親の返事は、「本当に、お話にならないわ。こんなに大きくなったのに、まだ赤ちゃんみたい。怖いことなんかないわよ」と突き放す言葉。

 もうひとつは、「そう、怖いのね。だったら灯りをつけて、ドアも開けておくわね」と言う受け入れの言葉。

 子供なら、どちらが嬉しいですか?

 気をつけるべきことは、子供と交流することであり、親が子供に対して自分の意見を押し付けることではありません。子供との交流は必ず双方向であるべきで、それは彼らの話に耳を傾けるということを意味しています。会話が一方的であれば、それはただ自分の考えを彼らに押し付けることになります。双方向の交流は、特に少し成長した子供にとっては重要です。また、愛を持って励まし、尊重する言葉を使えば、子供はさらによく行うことができるでしょう。

親子の交流時の注意点:

  1. 幼い時から交流をはじめる。
  2. まず親から子供に話かけてあげる。
  3. 話しやすいオープンな環境を作る。
  4. 親の価値観を、子供に話してあげる。
  5. 彼らが何を言いたいのか、しっかり聞いてあげる。
  6. 子供に誠実であること。
  7. 子供には忍耐強く対処すること。
  8. 毎回子供と話す機会を逃さず、助けてあげる。
  9. 正しい言葉を、やさしく繰り返し話す。
  10. 愛情を込めて、子供を尊重する言葉を使う。
(翻訳編集・李YS)

 

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