友人の親戚の妻は、生まれてから自分の足のサイズに合う靴を履いたことがなく、いつも大きすぎる靴を履いて歩いていた。
子供たちが彼女に靴のことを聞くと、彼女はいつも「大きいサイズも小さいサイズも同じ値段なら、なぜ大きいほうを買わないの?」と答えた。
私がこの話をすると、いつも大笑いする人がいる。
日々の生活の中でも、自分に合わない大きな靴を履きたがる人がいる。大した主義主張もない作家が、いつも暗いストーリーを書きたがる。大した才能もない画家は、いつも超大型の絵画を描きたがる。いつも家に帰らない政治家や社長が、大豪邸を持っている。
多くの人は大きさを求めたがるが、実は貪欲な心にかられているだけである。ひたすら特大サイズの靴を捜し求めるが、自分の足の大きさを忘れているのだ。
小さいものには小さいものの良いところがある。その良さはうまく言えないが、例えば故宮博物館の国宝「象牙球」、「翠玉白菜」、「肉形石」などの小さく精巧につくられた作品が、私たちを大いに感動させることがあるということだ。
もちろん、どんな靴を買おうと、足に合うことが一番重要であり、何を追及しても、ほどほどにしておくべきだ。分不相応な物を手に入れても、時に周りから見れば滑稽なだけである。
林清玄
「明心ネットより転載」
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