体に最適な食事とは?

中国では、伝統的に医食同源という考え方があり、中国の医者たちは食べ物を用いて病気を治したり、緩和させたりしてきました。患者の症状がひどく、病気が重い場合だけ、漢方や針などの方法で治療していたのです。

 東洋医学では昔から、食べ物を陰と陽のグループに分け、二種類の食品を適切に食べることによって、健康を得ることができると言われてきました。陰の食べ物は体を落ち着かせ、冷やす効果があり、逆に陽の食べ物は体を温め、刺激を促します。身体が疲れていて元気がなく、気分も落ち込み気味のときは、陽の食べ物の分量を増やすとよいでしょう。逆に、ストレス、不安、感情の高ぶり、怒りなどに捕らわれているときは、陰の食べ物を食べて落ち着かせるとよいでしょう。腐ったもの、残り物、古くなった食物や加工食品には毒素があり、栄養を得る上で効果はないとされています。

 もし身体的にも精神的にも健康であるなら、自分の食生活が周りの自然環境と協調しているか観察してみるのもよいでしょう。寒い地方や、湿度の多い地方に住んでいる人には、主に陽の食事を摂ることを勧めます。暑く、乾燥した地域に住む人たちは、主に陰の食物を摂る方が適切でしょう。

 桜沢如一(ジョージ・オオサワ)という人は、マクロバイオティックという食生活健康法を編み出しました。彼は、食が人間の健康と幸福に多大な影響を与えており、それぞれの土地の風土にあった、旬のものを食べながら、基本的に玄米菜食主義がベストであると唱えています。

 桜沢先生は、18歳のときに玄米、味噌汁、海藻類などの、シンプルな食事療法で、難病を克服しました。これらの食品は、全て陰・陽の中間にあたります。

 マクロバイオティックでは、なるべくその土地で育った、旬の食べ物を食し、極端に陰、または陽に片寄った食事を避けることを提唱しています。桜沢先生によると、近代における食事では、塩分、精製された砂糖、乳製品、加工食品、肉などの摂取が多く、それが身体の陰陽バランスを崩して病気がちになります。人間の身体は自然にバランスを取ろうとするので、肉や塩辛いポテトチップスなどの極端に陽の食事をすれば、今度は身体が極端に陰のもの、例えば砂糖やトロピカル・フルーツなどを欲しがります。極端なものは、人間の身体だけでなく、精神や行動にも、マイナスの影響を与えると言われています。

 食事の味付けは、酸味、苦み、甘み、辛み、塩味という5種類の味に分類されます。バランスのとれた食事とは、それぞれの味の食材が、適度な分量で使用されていることです。例えば、酸っぱい味のものは、レモン、トマトなど、苦みは苦瓜、パセリ、胡麻など、甘みは玄米、煮野菜、辛味は生姜、にんにく、わさび、みょうがなどの薬味、そして塩味は味噌汁などで、全ての味付けがバランスよく調和した食事は、たとえ分量やカロリーが控えめでも満足できるのです。