4月、カザフスタンのアルマトイで、市場に果物を並べる業者、参考写真(GettyImages)

中欧と中央アジアの民主主義が低下 中国の影響で=調査

中欧と中央アジアの少なくとも20カ国の民主的な制度がますます低下し、権威主義的な指導者の力が強まっている。中国共産党の間接的な操作により「透明性や法の支配が歪み、現地の権威者による略奪的な振る舞いが悪化している」と米国の人権組織フリーダムハウスの報告書が指摘した。

ワシントンに拠点を置くフリーダムハウスは5月6日、中欧、バルカン半島の29カ国の民主的ガバナンスに関する年次報告書「ネーションズ・イン・トランジット(Nations in Transit、移行期の国)2020」を発表した。それによると、中国の外交官は対象国の制度的な弱点を利用し、脅しや収賄を通じて「政治経済の構造の腐敗に密かに浸透していく」という。

特にフリーダムハウスは、中国共産党が監視に力を入れていることを強調した。人民解放軍と強い繋がりのある中国通信大手・華為技術(HUAWEI、ファーウェイ)は、29カ国のうち10カ国の政府と「安全都市協定」を締結して、華為技術の生体認証やAI監視カメラによる監視ネットワークを導入させている。

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