米シンクタンク「戦略国際問題研究所(CSIS)」は18日、中国共産党海軍がカンボジア南部シアヌークビル州のリアム海軍基地から活動を行っている可能性があると指摘した。同シンクタンクは、商業衛星画像の分析により、中国の軍艦2隻が4か月以上にわたってリアム海軍基地に滞在していることを明らかにした。
カンボジア政府は2023年12月、中共(中国共産党)の軍艦2隻がリアム海軍基地に寄港したことを認めたが、訓練目的であり一時的な寄港だと説明していた。しかし、CSISの「アジア海事透明性イニシアチブ(AMTI)」の分析によれば、これらの軍艦は一旦出航したものの数日後に戻り、以来4か月以上も同基地に留まっているという。
2019年に流出した中国とカンボジアの覚書では、中共軍にリアム海軍基地の一部を独占的に使用する権利を与えるとされていた。カンボジア政府はこれを否定していたが、今回の衛星画像分析では、中国軍がリアム海軍基地から活動している可能性を示唆している。
CSISの専門家グレッグ・ポーリング氏は、「これは単なる訪問や演習ではない。フン・セン政権とフン・マネット(フン・セン氏の長男)政権の否定にもかかわらず、中国人民解放軍海軍はリアム海軍基地から活動している」と述べた。
カンボジアと中国は近く、「ゴールデンドラゴン2024」と呼ばれる合同軍事演習を実施する予定だ。一部は海上で行われるとみられるが、現在リアム基地に停泊中の中共軍艦が参加するかは不明だ。
米国務省は昨年12月、リアム海軍基地の一部を中国が独占的に管理する計画について「深刻な懸念」を表明していた。カンボジア政府は外国軍の駐留を認めることは憲法違反だと主張し、米国の懸念を否定している。
一方、カンボジアのある専門家は「中国はリアム基地を建設し、独自に運営している。中国が何をしているのかわからない」と匿名を条件に、米ラジオ・フリー・アジアに語った。タイのナレースワン大学のポール・チェンバース氏は、「カンボジアにおける中国の足がかりは、南シナ海、ミャンマー、ラオス、南アジアにある他の中国軍事拠点を支援するものだ」と指摘する。
米大使館の報道官は、「米国と地域の国々は、リアム海軍基地の建設の意図、性質、範囲、および中国軍のプロセスにおける役割と施設の将来の使用について、一貫して深刻な懸念を表明してきた」とコメントした。
21日からカンボジアを訪問する王毅外相は、シハモニ国王や、フン・マネット首相、フン・セン上院議長との会談を予定している。中国共産党は両国関係のさらなる接近、強化を狙うとみられる。
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