東南アジア・南アジア 航路の安全確保がいかに重要か? コストにも注目!

フーシ派の襲撃が連鎖反応を引き起こし、アジアの港が混雑

2024/06/28 更新: 2024/06/28

世界第2位のコンテナ港であるシンガポール港が、COVID-19パンデミック以来の混雑のピークに達している。これはフーシ派が紅海で行った襲撃が、世界の海運を混乱させた結果である。多くのアジアやヨーロッパの港でも遅延が発生している。

小売業者、製造業者、その他の船運に依存する業界は、再び運賃の高騰、港の混雑、空コンテナの不足に直面している。多くの企業は年末のショッピングシーズンに向けて在庫を積み増ししており、これがインフレリスクを増大させる可能性がある。

海運データ会社Linerlyticaによると、世界の港の混雑は過去18か月で最高に達しており、60%の船がアジアに停泊している。6月中旬時点で、総運送力が240万TEU(20フィートコンテナ換算)の船が停泊地で待機している。

昨年11月以降、船はフーシ派の襲撃を避けるためにアフリカを迂回するルートを取ることが多くなり、航行スケジュールが乱れ、停泊できる港も減少した。

このため、大型貨物船はシンガポールなどの中継港で一度に多くの貨物を降ろし、一部の航路を放棄している状態だ。中継港では、他の船に積み替えて最終目的地に運ばれることになる。

Drewry Shipping Consultantsのジェイエンドゥ・クリシュナ氏は、「荷主はコンテナを中継港に降ろして、この状況に対処しようとしている」と述べた。

クリシュナ氏によれば、1月から5月までの間に、シンガポールでの平均貨物降ろし量は22%増加し、他のハブでも在庫が増えている。世界第2位の港であるシンガポールの混雑は特に深刻である。

シンガポール海事港務局(MPA)は5月末、コンテナ船の停泊待ち時間が、平均で2~3日であると発表たが、コンテナ追跡会社LinerlyticaとPortCastによれば、遅延は1週間に及ぶこともあるという。通常、待ち時間は1日未満平均であるはずなのにである。

一部の船がシンガポールを迂回するため、近隣の港でも混雑が発生している。Linerlyticaによると、マレーシアのクラン港やタンジュンペラパス港に負荷が移っており、中国の港でも待ち時間が増加しているという。上海や青島での遅延が最も長いそうだ。

クリシュナ氏は、主要な中継港の混雑は依然として続くが、運送業者が運送力を増やし、航行スケジュールを回復することで、徐々に緩和されると予測している。

シンガポール港務局は旧ケッペル埠頭とヤードを再開し、トゥアス港でも新たな埠頭を開放して、混雑を解消しようとしていた。

今月初め、世界第2位のコンテナ船運営会社マースクは、混雑のため、中国と韓国から出発する2回の西行き航路をキャンセルすると発表した。

荷主と研究分析会社は、顧客が需要を見越して前倒しで出荷しているため、例年の航運繁忙期が早まっていると指摘していて、コンテナ運賃が高騰しており、これもインフレリスクを高めた。

全米小売業協会(NRF)の供給チェーンと税関政策担当副会長ジョナサン・ゴールド氏は、米国の消費者支出が昨年よりも高い水準にあるため、小売業者は需要を満たすために在庫を増やしていると述べた。2024年初めから、アジアから米国やヨーロッパへのコンテナ運賃は2倍に上昇していたのだ。

今年の米国港湾でのストライキの懸念も繁忙期を早めている可能性がある。ゴールド氏は、ドイツ港湾のストライキも船舶の困難を悪化させているという。

専門家は、これらのすべての混乱が消費者に高い価格をもたらす可能性があると警告している。

 

陳霆