イエメンの反政府武装組織フーシ派による紅海航運の襲撃が原因で運賃が上昇し、世界の輸出入貿易に影響を与えている。特にアメリカを含む世界の輸入業者は貨物輸送に不安を抱き、中国の製造業者は、今年がこれまでで最悪の年になると語っている。
中国南方にあるクリスマスツリー製造業者Golden Arts Gifts & Decorの経理Richard Chan氏は、「今年は利益を考える年ではない。ただ生き残るだけが目標だ」と述べ、「紅海の危機は本当に頭痛の種だ」と語っている。彼は、今年が20年以上のキャリアの中で最悪の年になると予想しているという。
同社の顧客にはウォルマートが含まれ、約80%の製品がアメリカとヨーロッパに輸出されている。紅海での襲撃により出荷が遅延し、顧客は通常よりも1か月早く注文を出すよう求められている。
紅海での襲撃が海運時間を延長し、コンテナの不足を引き起こし、アジア航路のキャンセルが相次ぎ、現場海運料金が高騰している。昨年2023年11月以来、フーシ武装組織による商船への襲撃が続いており、商業航運会社や船舶、保険会社はマンデブ海峡を避けてスエズ運河に向かう代わりに、アフリカ南端の喜望峰を回るルートを選んでいるため、コストが増加し、輸送時間が延び、世界貿易に危機が発生しているのだ。
アメリカ国防情報局(Defense Intelligence Agency、DIA)の報告によれば、2023年12月から2月中旬までの間に紅海のコンテナ輸送量は約90%減少した。喜望峰周りを含む代替ルートでは、1万1千海里(約2万372キロメート)(1~2週間の運航時間)の追加が必要になった。
物流プラットフォームProject 44の分析によると、2024年5月の紅海を通過するコンテナ船の航行量は前年同月比で78%減少。
CNBCの報道によれば、アジアと北欧間の短期海運料金は急騰し、40フィートコンテナの運賃は1万2千ドルに達している。
中国のギフトボックス生産者Brothersboxの総裁Michael Lu氏は、一部の輸送コストが前年より40%高くなっていると述べ、全てのコストを顧客に転嫁できないと説明している。同社は需要を満たすために週末にも工場を稼働させているという。
香港を拠点とするWah Lung ToysのAnny Cheung氏は、運賃の上昇と配達時間の延長が、アメリカやヨーロッパへの製品供給に遅れをもたらす可能性があると指摘。
紅海での襲撃が続く中、海運費は上昇し続け、港の船舶混雑や空コンテナの不足が深刻化している。海運は世界貿易の支柱であり、紅海の危機はその根幹を揺るがしている。
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