対日輸出規制の逆効果 日本の脱中国と防衛強化に拍車

2026/02/26 更新: 2026/02/26

中国共産党(中共)は2月24日、軍民両用物資の輸出を巡り、日本の企業・機関20社への輸出を禁止し、さらに別の20社を監視対象に加えたと発表した。専門家は、この措置がかえって逆効果を招く可能性があると指摘している。日本の軍事大国化を後押しし、「脱中国」の動きを加速させる一方、世界全体のサプライチェーンに対する脅威となり、結果的に西側諸国の結束をさらに強めることになるという。

政府 中共のブラックリストに抗議

中共商務省は同日、「日本の再軍事化」を理由に、日本の企業・機関企業を輸出管理リストおよび監視リストに追加した。これにより、中国企業によるレアアースや半導体製造装置などの軍民両用物資の輸出が禁止される。

中共は今年1月にも日本向けの輸出規制を打ち出していたが、今回は異例に具体的な企業名を挙げた。これを受け、東京株式市場では関連企業の株価が下落し、円相場も対ドルで0.4%下落し、1ドル=155.27円となった。

これについて佐藤啓官房副長官は記者会見で「決して許容できず」と述べ、日本政府が中共側に強く抗議し、措置の撤回を求めたことを明らかにした。

また小泉防衛相は、沖縄県与那国島に5年以内にミサイル部隊を配備し、03式中距離地対空ミサイルを展開する計画を公表した。同島への具体的な配備時期が示されるのは初めて。

2月25日には高市首相が参議院の代表質問で、「特定国に依存しない強靱なサプライチェーンの実現に向けて同志国とも連携し、供給源の多角化を進める」と述べた。

米サウスカロライナ大学エイキン校の謝田教授は、中共の対応について、アメリカの措置を無理に模倣したとの見方を示している。

謝田氏は大紀元に対し、「アメリカは中国企業をエンティティリストに載せて機密性の高いものの輸出禁止措置をしてきた。一方、中国が日本のこれらの企業に高度な技術を提供しているわけではない。実際に供給しているのは主に原材料や部品だ。言い換えれば、これらは日本が必ず中国から調達しなければならないものではない」と指摘した。

日本の防衛強化を後押しする可能性

中共商務部の報道官は、今回の措置について「日本の再軍事化や核保有の動きを抑止する目的」と主張した。

台湾国立師範大学東アジア学科の林賢参教授は、「日本国内で高市政権の防衛力強化に反対する世論を喚起する狙いがある」と分析する。一方、「その企てが成功することはない」と考えている。

「高市氏率いる自民党は、衆議院選挙で史上最多の議席を獲得したばかりだ。これは日本国民が高市内閣を信頼し、中共による『経済的いじめ』に屈しない姿勢を強力に支持していることを意味している」と述べた。

謝田氏も「中国の安全保障上の圧力を背景に、日本が軍事強国への道を歩む流れは、もはや止められない」と指摘した。この状況は中共自身の行動によって招かれたものだとし、中共が南シナ海、東シナ海、台湾海峡で軍事的圧力を強めてきた結果であり、「実際には中共自身が負うべき結果だ」との認識を示した。

近年、中共海警局の船舶が尖閣諸島周辺海域への接近を繰り返しているほか、中共軍機が長崎県沖の日本領空に侵入する事案も発生している。昨年12月には、日本の自衛隊機が中共軍機から「レーダー照射」を受けた。最新の防衛白書は、中共の軍事拡張と挑発を地域の「最大の戦略的脅威」と位置付けている。

他国にも自国にも打撃 日本企業の「脱中国」加速

東京株式市場では、制裁対象となった三菱重工業の株価が3.1%下落したほか、IHIや日本電気もそれぞれ5.7%、6.2%下落した。監視対象リストに入ったSUBARUも3.5%安で取引を終えた。

林氏は「制裁を受けた日本企業の株価下落は一時的なものに過ぎないが、日本企業の対中投資意欲には深刻な悪影響を及ぼすだろう」とし、「中国で製造し日本に逆輸入するというサプライチェーンのあり方は、抜本的な見直しを迫られることになる」との見方を示した。

また経済安全保障の観点から、日本企業が生産拠点を東南アジアへ移転する動き、いわゆる脱中国化やリスク分散が一段と進むと指摘した。

監視対象となった三井物産エアロスペースについて、親会社三井物産の安永達夫会長は中国と直接的な取引はないはずだと説明し、どういう経緯、どういう基準で監視対象となっているのかが現時点では判明していないと述べた。

安永氏は、日本の産業界全体として、いかに調達先の多様化を図ることが重要だと強調した。

謝田氏も「これは、該当企業のみならず日本全体の脱中国化を加速させることになる」と述べた。「日本企業が中国から原材料を購入しなくなれば、結果的に打撃を受けるのは中国企業側だ」としている。

そのうえで、「中共はまたしても政治目的のため、他国に損害を与えるだけでなく、自らにも利益のない、あるいは自国を傷つけかねない措置を取ったのだ」と述べた。

近年、日本企業の中国からの撤退や投資縮小の流れは続いている。中国日本商会の調査では、中国で事業を展開する日系企業1427社のうち4割以上が投資削減または停止を検討していると回答した。

中国の景況について「改善」と答えた企業は1%にとどまり、49%が「悪化」及び「やや悪化」と見ている。政策の不透明さや法執行の不確実性、安全面の懸念も投資意欲低下の要因とされる。

日本貿易会会長「世界供給網への挑戦」

日本貿易会の安永竜夫会長は、今回の措置について、「結果的に日本を通じて、部材がEUやアメリカの最終消費者に供給されていることもある」と述べ、「言い換えればこれは全世界のサプライチェーンに対するチャレンジになってくる」と指摘した。

さらに、重要物資の供給源の多様化につはすでに日米貿易協議の議題に盛り込まれており、こうした取り組みはEUとの連携も含め、世界規模へと広げていくべきだと強調した。

ジャーナリストの矢板明夫氏もSNSで、今回の措置は日本への圧力が目的だった可能性があるとしつつ、実際の効果は期待通りにはいかないと分析している。

「経済手段の政治化が頻繁になれば、各国は自然と依存度を見直し、サプライチェーン再編の流れは続くだろう」と述べた。

易如
程静
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