対中依存脱却へ 日本企業が東南アジアでのレアアース開発を強化

2026/05/19 更新: 2026/05/19

中国共産党(中共)のレアアース供給網への依存から脱却するため、東南アジアに目を向ける日本企業が増えている。住友金属鉱山はフィリピンでレアアース鉱山を開発し、双日は越マレーシアで開発を進めるなど、自立したレアアース供給網の構築に向けた動きが加速している。

日経新聞の報道によると、住友鉱山はフィリピンの鉱山に出資しており、採掘した鉱石を兵庫県の工場に運んで加工している。同社は2026年度中に、燃料電池向けレアアース元素であるスカンジウムの生産量を20%増やす計画だ。

燃料電池にスカンジウムを使用すると、動作温度の低下と耐久性の向上が図れる。燃料電池は急速に拡大するAIデータセンターの有望なエネルギー源として注目されており、昨年は世界全体のスカンジウム需要が倍増した。世界のスカンジウム供給量の80%を中国が占め、日本のシェアは10%にとどまる。ロシアとカナダも生産している。

住友鉱山は日本でスカンジウムを大規模供給できる唯一の企業であり、対中依存の削減を望む欧米企業の需要に応えるべく、さらなる増産策を模索している。

双日はオーストラリアのライナス・レアアース(Lynas Rare Earths)と組み、ベトナムやマレーシアでレアアース開発を進めている。両社は今年3月、双日とJOGMEC(石油天然ガス・金属鉱物資源機構)の合弁企業を通じて合意に達した。双日はライナスのマレーシア拠点を活用してレアアースの精錬も行う予定で、能力拡張に向けた建設工事が現在進行中であり、2027年の完工を見込んでいる。

双日とJOGMECは2011年以降、ライナスへの出資を繰り返し、高性能磁石に使用されるネオジムなどオーストラリア産レアアースの輸入促進を図ってきた。

世界最大のレアアース埋蔵量を誇るのは中国であり、世界生産量の約70%を占める。中共はレアアースへの世界的な依存を武器に、他国への経済的威圧を繰り返してきた。2025年4月に米中関係が悪化すると、中共はスカンジウムを含む7種のレアアース元素の輸出規制を開始した。

また中共は今年1月、日本に対してより厳格な軍民両用材料の輸出規制を発動したが、そこには高性能磁石向けレアアース元素であるジスプロシウムなどの重要鉱物が含まれるとみられている。

一方、未開発の有望なレアアース鉱床を多数有する東南アジアへの注目が高まっている。2025年10月には米国がタイおよびマレーシアと、レアアースをはじめとする重要鉱物のサプライチェーンに関する覚書を締結した。

JOGMECの担当者は、東南アジアはレアアース供給網の整備状況、輸送インフラ、潜在的埋蔵量、そして日本との長期的な協力関係から見て、大きな発展可能性を秘めていると述べた。

李平
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