トランプ米大統領がイランに対して強硬な警告を発したことに加え、湾岸地域で新たなドローン攻撃が相次いだことを受け、18日の世界金融市場は大きく揺れた。原油価格は1%超上昇し、北海ブレント原油先物は再び1バレル=110ドルを上回った。市場ではインフレ再燃への警戒感が強まっている。18日のアジア太平洋地域の株式市場は全面安となり、世界の債券市場でも売り圧力を背景に利回りが上昇した。
トランプ氏の警告と地政学リスクの高まり
トランプ氏は17日、「Truth Social」への投稿でイランに警告を発した。「イランに残された時間は少ない。早急に行動すべきだ。さもなければ、何も残らないことになる」と述べた。
一方、中東情勢はさらに悪化している。アラブ首長国連邦(UAE)では、国内唯一の原子力発電所でドローン攻撃による火災が発生した。サウジアラビアもドローン3機を迎撃した。世界の石油貿易の要衝であるホルムズ海峡では、現在も航行できる船舶がごく限られている。
エネルギー市場とインフレ懸念
これを受け、エネルギー市場では買いが広がり、北海ブレント原油先物は1バレル=110.72ドルまで上昇した。調査会社キャピタル・エコノミクスは、海峡の封鎖によって世界の石油在庫が急速に減少していると警告している。同社は「在庫は6月末にも危機的な水準に達する可能性があり、ブレント原油が1バレル=130~140ドル、あるいはそれ以上に上昇する可能性が高まる」と指摘した。
さらに、海峡の封鎖が年末まで続き、原油価格が2027年まで1バレル=150ドル前後で推移した場合、イギリスとユーロ圏のインフレ率は10%近くまで押し上げられる可能性があるという。その場合、金利は直近の高水準に戻り、世界経済は景気後退に陥る恐れがあるとしている。
世界株安とハイテク株売り
米株式市場では前週末、ハイテク株に売りが集中した。投資家が最近の上昇を受けて利益確定売りに動き、インテル株は6%超下落。エヌビディアは4.4%安、新規上場したばかりのAI半導体企業セレブラス・システムズも10%急落した。
18日のアジア太平洋地域の株式市場もそろって下落した。日経平均株価は1.35%下落し、韓国総合株価指数は1.83%安となった。台湾加権指数も698.39ポイント下落し、下落率は1.70%だった。
市場は、5月20日に予定されるエヌビディアの決算発表を注視している。AI投資ブームが今後も続くかどうかを見極める重要な判断材料になるとみられている。
原油価格の急騰はインフレ期待を押し上げ、債券売りを誘っている。米10年債利回りは4.584%まで上昇し、日本の10年国債利回りも2.785%に跳ね上がった。
市場では現在、FRBが年内に再び利上げに踏み切る確率が50%に達したとみられている。リスク回避の動きが強まる中、流動性の高いドルは堅調に推移している。一方、ヨーロッパの政治不安を背景に、ユーロと英ポンドは軟調となっている。
G7の財務相は18日、パリで会合を開く予定で、ホルムズ海峡情勢や重要物資の供給網への影響について協議するとみられる。
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