「民族団結進歩促進法」が施行される意味 台湾有事を見据えた国家ぐるみの戦争準備=専門家

2026/06/07 更新: 2026/06/07

中国で7月1日から、「民族団結進歩促進法」(以下、民族団結法)が施行される。中国共産党(中共)政府は同法について「民族の団結」を掲げているが、中国の政治動向に詳しい袁紅氷氏は同法は台湾有事を見据えた国家ぐるみの戦争準備という深刻な意味合いを持つとの見解を示した。

中国全人代報道官の説明によれば、同法の目的は、国の立法を通じて民族事業に対する中共の全面的指導を確保することにある。さらに、「中華民族共同体意識」を強固にするための制度や枠組みを整え、各民族の合法的な権利を守り、中華民族の求心力を高めることを目指すとしている。

法案では、あらゆる民族への差別や圧迫を禁じる一方で、標準語である普通話教育の定着を求めている。

しかし、少数民族の人権を擁護する南モンゴルクリルタイ(世界南モンゴル会議)は、この法律を「文化的ジェノサイドを制度化する法案」であると強く非難している。同団体によれば、同法は国家通用語の普及や国家統編教材の使用を強制することで、モンゴル人、ウイグル人、チベット人といった非漢民族から独自の言語、文化、歴史認識を奪う内容を含んでいるとした。

同団体は、少数民族の言語使用を保障する中国の憲法に反し、単一の国家アイデンティティを形成させるための抑圧的な枠組みであると指摘している。

民族団結法の対象は、中国国内の少数民族だけではない。法律の中では、台湾についても明確な位置づけがなされている。

共同通信の報道によれば、同法は台湾に関して「両岸(中台)の交流と協力を促し、台湾同胞の中華民族に対する帰属意識を増進する」と明記しており、経済や文化での交流を進めることで、「両岸同胞はいずれも中国人だという認識を増強させる」方針を示しているという。

袁紅氷氏は大紀元の取材に応え、同法について、中国共産党の法律の基本的な特徴である「良い言葉は言い尽くし、悪いことはやり尽くす」という本質を示した「専制的な悪法」であると断じている。

袁氏は、同法が表向きには「民族団結」と名付けられているものの、その実態は各少数民族に対して文化的ジェノサイドを実行するための、最新の法的・政治的意志の表れにほかならないと批判している。

さらに袁氏は、同法がこの時期に打ち出された理由について、習近平政権が台湾海峡での戦争を発動する準備を進めているためだと分析している。台湾侵攻という大きな戦争を引き起こし、国全体を戦争状態へ移行させるためには、まず国内の不満や少数民族の反抗を徹底的に抑え込まなければならないという見方である。

袁氏は、民族団結法について、戦争に向けた国内の安定化、すなわち維穏と呼ばれる体制維持を図るための極めて重要な準備作業であると位置づけている。

中国の民族団結進歩促進法は、単なる国内の民族融和を目的とした法律ではないとの指摘が出ている。国内の少数民族から文化と言語を奪って同化させ、台湾の人々に対しては「中国人」としての帰属意識を強めようとするものだという見方である。

さらに袁紅氷氏の分析によれば、同法は台湾有事を見据えた国家ぐるみの戦争準備という深刻な意味合いを持つ。国際社会は、この法律の施行がもたらす重大な危機を注視し続ける必要があるだろう。

大道修
社会からライフ記事まで幅広く扱っています。
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