経営コンサル倒産が過去最多 AI台頭と「補助金頼み」の限界浮き彫り

2026/06/06 更新: 2026/06/06

帝国データバンクの調査によると、2026年1月から5月にかけて発生した「経営コンサルティング業」の倒産(法的整理)および休廃業・解散は、累計242件に達した。これは、年間で過去最多を記録した前年(計568件)を約1割上回るペースであり、このまま推移すれば、2000年以降で最多となる年間600件超の事業者が市場から退出する可能性がある。

倒産・休廃業の実態

242件の内訳は、倒産が74件、休廃業・解散が168件である。特に倒産件数は、2000年の集計開始以来最多であった前年(167件、同期69件)を上回る勢いを見せている。また、休廃業・解散も前年同期の149件から12.8%増となるなど、コンサルティング業界における淘汰の動きが鮮明になっている。

「代行業」依存ビジネスの崩壊と経営のジレンマ

こうした背景には、特定の制度や労働集約的な「代行業」に依存したビジネスモデルの限界がある。行政向けの申請書類作成や、コロナ禍で活況を呈した「IT補助金」などの申請代行ビジネスは、審査の厳格化や参入業者の増加、顧客需要の一巡によって急速に受注環境が悪化し、ビジネスモデルとして成立しなくなりつつある。また、実体的な付加価値を提供せず、制度の「さや抜き」を主目的とした節税スキームなどを指南していた事業者の破綻も目立っている。

さらに、小規模事業者特有の脆さも浮き彫りになっている。1つの案件に対する売上依存度が高いため、クライアントの予算見直しやプロジェクトの中断による影響を直接的に受けやすい。一方で、コンサルティング業務における付加価値の源泉は「優秀な人材」であるため、固定費の大部分を占める人件費を削減すれば、サービス品質の低下と顧客の流出を招く恐れがある。このジレンマのなかで高コスト体質から抜け出せず、売上の急減によって資金繰りが行き詰まり、事業継続を断念するケースが相次いでいる。

市場の転換期と生成AIによる脅威

国内の経営コンサルティング市場は、2023年度に市場規模が4兆円を突破し、従業員数も17万人に達するなど拡大を続けてきたが、足元ではその伸び率が縮小しており、明確な転換期を迎えている。顧客のニーズは、リスクマネジメントやM&A、新規事業開拓といったより高度で本質的な「課題解決」へとシフトしている。

これに追い打ちをかけているのが、生成AIの急速な進化である。データ収集・分析や資料作成などの基礎的なリサーチ業務、さらには汎用的な研修コンテンツなどは生成AIによって代替可能となり、コモディティ化が進み、独自の付加価値を持たない、誰にでも提供できる一般的なサービスになりつつある。「生成AIによる業務代替」を直接の倒産理由とするケースは現時点では確認されていないが、専門性による差別化を図れず、労働集約的・制度依存的な従来型のビジネスモデルから脱却できないコンサルティング事業者は、生成AIの台頭による下押し圧力に耐えきれず、今後さらに淘汰が加速するとみられている。

エポックタイムズの速報記者。東京を拠点に活動。政治、経済、社会を担当。
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