対中国最恵国待遇撤回の前兆か 米政府が正式調査を開始

2026/02/27 更新: 2026/02/27

アメリカの独立政府機関である国際貿易委員会(USITC)は2月26日、「中国に対する恒久的通常貿易関係(いわゆる最恵国待遇)を撤回した場合のアメリカ経済への影響」を調査する正式手続きを開始したと発表した。

USITCの声明によれば、今回の調査では、中国産全製品に付与されている「恒久的通常貿易関係(Permanent Normal Trade Relations、略称PNTR)」をすべて撤回した場合、今後6年間にわたりアメリカ経済、産業、製品供給源に及ぼす影響を検証する予定である。

この調査の案件番号は332-609であり、「2026会計年度商務・司法・科学・エネルギー・水資源開発・内政・環境歳出法」に基づき、米下院歳出委員会からの要請を受けて実施するものである。報告書は8月21日までに公表する見通しとなっている。

トランプ大統領は3月末から4月初旬にかけて中国訪問を予定している。26日に発表した今回の調査は法的手続きに基づくものであるが、これが米中首脳会談の新たな議題となるのか、あるいは両国関係に影響をもたらすのか、注目が集まっている。

恒久的通常貿易関係(PNTR)とは? 中国WTO加盟の背景

2000年、米国議会は中国に対し恒久的通常貿易関係の付与を承認し、これにより中国が2001年に世界貿易機関(WTO)へ加盟する上での最大かつ最後の障壁が取り除かれた。

アメリカは中国を含むほとんどのWTO加盟国に対し、標準貿易待遇(最恵国待遇、MFN)を与えており、これは中国から輸入する製品が他国と同じ低関税率(平均約3〜4%)で扱われることを意味する。これを撤回すれば、「第2欄(Column 2)」関税が適用され、関税率は40〜60%に達する可能性がある。

当時のアメリカは、中国を国際貿易体制に組み込むことで市場経済への転換が進むと期待していた。しかし近年、当時中国のWTO加盟を支持したアメリカ政治家の間で、結果的にアメリカの製造業空洞化、貿易赤字の拡大、知的財産権の侵害などを招いたとの反省が強まっている。このため、中国の恒久的通常貿易関係の撤回を求める法案を繰り返し議会に提出してきた。

撤回で関税40-60%へ急騰! 米国経済への影響分析

もし撤回が実現すれば、中国からアメリカへのすべての輸出品が低関税の優遇を失い、関税率は大幅に引き上がる可能性がある(現在の平均3.5%から40%以上へ上昇、第301条に基づく追加関税が重なる場合もあり得る)。

その結果、中国製品の対米輸出価格は上昇し、アメリカ企業の中国依存型サプライチェーンは再編を迫られる。米企業はベトナム、インド、メキシコなど代替供給国への移転や、製造の国内回帰を進める可能性がある。一方で、この動きが中国による報復措置を誘発する恐れもある。

調査目的と今後の意義:政策転換の布石なるか

USITCが今回実施するのは「事実調査(fact-finding)」であり、中国に対する貿易待遇の撤回を決定するものではない。目的は、政策決定の基礎となる客観的経済影響評価を提示することにある。

調査自体が即時的な政策行動を意味するわけではないものの、将来的な立法措置や行政判断への布石になる可能性がある。報告書でマイナスの影響が大きいと示されれば、撤回への動きは鈍化するだろう。逆に、影響が限定的または前向き(例:中国依存の低減)と判断されれば、撤回に向けた動きが加速する可能性もある。

今回の調査は、アメリカの対中貿易政策が一段と強化される兆候として注目されている。仮にアメリカが本格的に推進すれば、2001年の中国WTO加盟以来、最大規模の構造的貿易変化となり、世界の供給網や物価にも広範な影響を及ぼすことになる。これに対し、中国側はこれまで「アメリカが進めるなら、必要な対抗措置を取る」と警告している。

林燕