【紀元曙光】2020年6月10日
日常、について考えている。「新しい日常」のほうではない。
▼平凡な日常のなかに、人々の静かな幸せがある。政治の責任は「国民の生命財産を守ること」が優等生の正解だが、ちょっと語感が硬い。やわらかく言うなら、例えば「国民の静かで平凡な日常を守ること」だろう。
▼「横田滋さんは、どんな人でしたか」。昨日のテレビで、そう聞かれた同じ拉致被害者家族の増元照明さんは、故人の姿を懐かしむように答えた。「日本酒を、おいしそうに飲む人でした」。本来ならば、成人しためぐみさんを前に、滋さんは、人生最高のお酒を楽しんでいたはずだ。そんな幸せな日常を奪い去る理不尽が、あってよいはずがない。
▼1年前の6月9日。香港で「反送中」の大規模抗議デモが始まった。反送中とは、日本では「2019年、香港の逃亡犯条例改正案への反対運動」と説明される。香港において、刑事事件で逮捕された容疑者の身柄を、中国本土へ移送できるようにする改正案。これが通れば、中国共産党の思惑通りに乱用されるのは目に見えている。
▼これを阻止するため、香港の市民や学生は、自分の「平凡な日常」の全てを犠牲にした。彼らにも静かな自分の日常があったが、それを全部捨てて、連日すさまじい抵抗を続けた。中共という悪魔と闘うには、これほど決死の覚悟が必要なのだ。
▼日本人は、昨年来の香港市民の奮闘を、きちんと見たであろうか。拉致被害者全員を取り戻すことが、日本国民の妥協なき悲願である。それと同等の覚悟をもって、中共の暴政を許さぬ国家として、日本は世界にあるべきと思う。
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