【紀元曙光】2020年6月13日

1939年といえば、日本の昭和14年にあたる。

▼映画史に残る名作『風と共に去りぬ』は、この年に公開された。日本での公開は戦後の1952年で、その鮮やかなカラー映像と壮大な物語に、当時の日本人は度肝を抜かれた。アメリカ映画が、戦後の日本人を魅了したなかの代表作であったことは疑いない。

▼今年5月27日から米国で動画配信サービスを始めたHBOマックスが今月9日、この『風と共に去りぬ』の配信を停止したという。そう判断した配信会社の背景について筆者は知らないが、伝えられる理由は「人種に対する偏見を含んでいるから」という。

▼ただ傑作としか思っていなかった小欄の筆者には、この映画のどこが問題なのか、よく分からなかった。むしろ、マミーという黒人のメイドが(奴隷の身分でありながら)主家の令嬢であるスカーレットの身近にいて、時に母親のような小言を口にする様子に、「甘く描きすぎている」ように思えた。農場で働く黒人たちも、さほど悲惨な様子には見えない。

▼それは筆者の知識が乏しく、映画を深く鑑賞できなかったからだろう。マミー役の女優ハティ・マクダニエルは、黒人として初めてオスカーを受賞(助演女優賞)したが、この映画の原作小説の段階から、例えば、「KKK(クークラックスクラン)を肯定している」など、激しい批判はあったという。

▼米国で、映画の配信を中止する必要があるか否かは、分からない。その分からない日本人のたわ言として聞いていただけるなら、81年前のこの映画と、今の米国の現状とは、別時のように遠い気がする。

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