【紀元曙光】2020年6月17日
(前稿に続く)北アメリカを目指し、飢餓と貧困のアイルランド人を満載した船は、病気が蔓延した「棺桶船」と呼ばれた。
▼小欄で考えたかったのは、差別する側とされる側が、重層的で混ざり合っていることだ。21世紀に差別というものがあってはならない。しかし、「あってはならない」と口にした途端、それがあることになる。
▼古くは数百年にも及ぶイングランドからの差別と圧迫を受けてきたアイルランド人にとって、北アメリカは新天地であった。彼らの中から成功者が出てきたとき、それは例えば、自分の農園で黒人奴隷を使役する主人にもなっただろう。
▼アトランタは『風と共に去りぬ』の舞台であったが、その後も、1929年にキング牧師を輩出するなど重要な役割を果たす。南北戦争の後、黒人奴隷は解放されて「自由の身」にはなれた。しかし差別は厳然として存在するという意味で、実態は理想にほど遠く、白人と非白人との人種間問題は、暗い影を残したまま20世紀に入る。
▼そのキング牧師のところをパソコンで見ていたら、黒人男性がcoloredと表示された水飲み場で水をのむ、1950年代の写真があった。差別とは、恐ろしいものだ。我が日本でも、江戸時代の身分差別を遠因とする不条理が、百年後の20世紀後半まで続く。
▼最後に、6月14日の小欄で保留した「理由」を述べておきたい。激高するデモ隊と、対峙する警官隊。その瞬間、はるか上空の宇宙にいる邪神が、喜んで飛びつくのである。中国共産党などは、邪神の下僕の鬼に過ぎない。人に悪い心を起こさせる邪神は、滅するに尽きる。(4回了)
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