痩せていても安心は禁物 高脂肪、高糖質食品の過剰摂取は認知機能に悪影響
米国全国健康・栄養調査によると、成人の70%が過体重もしくは肥満と診断されている。また、オーストラリアも同様、63%もの割合を占める過体重、肥満が確認されているという。
しかし実際のところ、健康的な体重の範囲内で「食生活が悪い人」や「運動不足の人」を見つけるのは大変困難だという。なぜなら、この枠に当てはまる人は大概「健康」そのものに見えるからである。
健康的な体重とは?
肥満はBMI(ボディマス指数)と呼ばれる「体重と身長の関係を算出する」ことによって確認することができる。BMI値が25より大きい場合は過体重とみなされ、30以上は肥満に振り分けられる。ただ、BMIを使っても内部の健康状態まで確認することはできない。
オーストラリア、クイーンズランド州保健局によると、1年前にとった不健康な食事や運動不足な生活が、将来、肥満になるリスクを23%も高めるという報告がある。
現在標準体重でも、健康的な生活は重要なのか?
実際、多くの人は不健康な食生活に加え運動不足であっても、痩せていれば充分であると考えている。しかし外見は健康的に見えても、実は肥満の人と同じ健康問題を抱えるリスクは存在する。
これらの不健康な生活は、心臓病のリスクを高め、癌の発症にも関与する場合があると指摘されている。つまり、たとえタバコを吸わず、痩せていても、食生活と運動の質が健康を左右するということである。
肥満の人と痩せているが不健康な人を対象に、ある研究を行なった結果、それぞれのライフスタイルが起因して急性冠症候群(心臓への血流の突然の減少)などの合併症を引き起こすリスクがあることが判明した。その後、健康的な食事と適度な運動を順守した人と、そうでない人とを比較してみると、6カ月ほどでその違いが現れ、合併症のリスクを半減させることができたという。
不健康な食事は体に毒、では脳に与える影響は?
最近の研究結果で、高脂肪もしくは高糖質な食品の過剰摂取が、脳に悪影響を及ぼし、記憶障害などを引き起こしやすくしていることが判明したという。また、記憶力をはかるテストを行ったところ、肥満の多くの人に認知機能の障害を持っていることが明らかになった。
さらにオックスフォード大学の研究では、5日間高脂肪食を与えられた健康な成人の注意力、記憶力が損なわれていたことが発見された。また、マッコーリー大学で実施された別の研究でも、朝食4日分に脂肪や糖分の多いものを食べてもらったところ、肥満の人と同様の記憶障害が引き起こされることが分かったという。
つまり糖分の多い飲み物、ジャンクフードに分類される食事を数日続けただけで、記憶力を散漫させることが裏付けられたのだ。そして不健康な食事が招く悪影響は、体重の重さに関わらない。現段階で、なぜ不健康な食事が短期間で人間の認知機能を劣化させるのかは解明されていないが、原因の一つに血糖値の変化が挙げられている。血糖値の変動は、脳のグルコース代謝率とインスリン信号の伝達を鈍らせる可能性があると指摘されているのだ。
最後に、体重は必ずしも健康をはかるための指標ではない。「健康な食事」そのものがあなたの体をつくるのだ。
(大紀元日本ウェブ編集)