中国、習近平の政治理論を主要大学で教えるよう求める 習氏権力強化の一環か
中国の教育部は中国の主要大学37校に対し、今年の秋学期から、中国共産党の指導者である習近平氏の政治理論を学ぶクラスを開設するよう指示した。すべての学生がこの授業を受けなければならない。
このクラスは、今後5年以内に中国のすべての大学に拡大される予定だ。
この新しい習近平思想のクラスは、共産党イデオロギーの授業で大学生を教化する党のこれまでのやり方を踏襲している。
1980年代、中国共産党は毛沢東のマルクス主義理論の学習を命じた。2000年代には、共産主義の教えを特徴とする「思想と道徳の教養」授業を実施した。
中国の専門家の中には、今回の指示は、習氏が重要な政治会議を控えて、権力をさらに強化していることを示すものだと見る人もいる。
新しい授業
今年9月、2カ月に1度発行される共産党理論誌「求是」が習近平氏の論文を発表し、小中高校から大学まで、習氏の思想を学生たちに学ばせることの重要性を強調した。
同誌はその後、習氏の政治思想である「習近平新時代の中国の特徴を踏まえた社会主義思想」の入門講座を大学に義務付けるという教育部の新たな決定を発表した。中国共産党の指導者は、みな自分の思想を打ち出し、党憲法に祭られる。
マルクス主義を専門とする学部を持つ北京大学、清華大学、南開大学、その他のトップ大学34校は、2020年秋にこの授業を始めた。
南開大学は9月6日の記事で、習近平思想とマルクス主義との関係、習氏の歴史学に関する思想、習氏の中国の発展目標など、習近平思想の授業内容を紹介した。
清華大学はウェブサイトで、授業は12週間におよび、すべての教材は習氏の演説に基づいていると紹介した。
中国の宗教の自由と人権について報道するオンライン雑誌「ビター・ウィンター(Bitter Winter)」は6月、中国の高校や大学が習氏の演説を学習するよう学生に要求し始めたと報じた。
同報告書は、中国東部の山東省出身の大学生の話を引用して、「習近平思想のテストに合格できなければ、大学の卒業証書はもらえない。その結果、党に入ったり、いい仕事を見つけたり、昇進するのは非常に難しくなる」と伝えた。
米国を拠点とする中国問題評論家の唐靖遠氏は、中国共産党は10月26~29日まで北京で開かれる第5回全体会議で、中国の次の5カ年計画を策定し、次期党指導者の候補者について話し合う予定だが、習氏は党幹部の自分への忠誠心を確認しているようだと述べた。
「習近平氏は最高指導者の地位を固めたいと考えているようだ」と唐氏は話した。
2017年に開かれた前回の党大会で、習氏は後継者の名前を挙げなかった。2018年3月、中国共産党は公式に憲法を改正し、国家元首の任期を2期に制限する規定を撤廃し、習氏が無期限に統治できるようにした。
習氏は後継者を指名する予定はなく、党指導者の地位を維持したいと考えていると唐氏は分析した。
唐氏はまた、新卒者の失業率が高いことから、習氏は学生たちに確実に党の方針に従わせたいと考えていると述べた。「学生たちが卒業後に就職できなくても抗議しないように、習氏は学生たちに自分の哲学を学ばせようとしていると思う」と唐氏は付け加えた。
習氏は最近、権力強化のための動きを見せている。
9月28日、習氏は北京で会議を主催し、「中国共産党中央委員会の職務規則」を発表した。中央委員会は党のエリートで構成された組織だ。
国営新華社通信は、職務規則には「習近平は中央委員会の中核だ」と明記されており、党は職務規則に従わなければならないと報じた。
「これらの職務規則を作成することで、習氏は規則が有効である限り、自分が党の指導者であり続けるというメッセージを発信している」と唐氏は話した。
(大紀元日本ウェブ編集部)