英国議会の写真、2020年12月撮影 (Niklas Halle'n/AFP/Getty Images)

英、ヒト組織の輸入を規制する法案成立 「中国臓器狩り」念頭に

英国議会で11日、ヒトの組織、臓器などの輸入には適切な同意証明を必要とする「医薬品および医療機器法案(Medicines and Medical Devices Bill)」改正案が成立した。提案したフィリップ・ハント上院議員は同法により、中国の収容者から強制摘出された臓器が英国の医療界に入るのを防ぐことができるとしている。

ハント議員は議会で、「中国(共産党)が良心の囚人から臓器を強制的に摘出しているという認識は、世界で広まりつつある」と述べた。

世界の人道犯罪を法律家や弁護士ら第三者が裁量して結論を下す「民衆法廷」は2019年6月、中国臓器狩り問題について「中国でかなりの長い期間、極めて多くの良⼼の囚⼈から強制臓器収奪が行われてきたことを確信する」との最終判決を下した。

英国政府の今回の立法プロセスのなかでも、複数の議員が民衆法廷の判決を引用した。

ハント議員は「民主法廷は最近、生きた人間から強制的に臓器を摘出するという恐ろしい犯罪(殺人のプロセス)が広範囲に行われていることを明らかにした」と述べ、最終裁定である「恐らく法輪功学習者が臓器の主な供給源となっている」を強調した。

現行の英国人体組織法では、輸入されたヒト組織(human tissue)に対する適切な審査や同意を必要としていない。ハント議員は、今回の修正案が同法を補完すると考えている。

ハント議員はさらに、この修正案は英国が臓器収奪の共犯者になることを防ぐことができ、また他国にも重要なメッセージを伝えることができると付け加えた。

「中共の共犯者になってはいけない」

改正案に関する議会の議論では、ヒトの体をプラスチック加工した展示会「リアルバディ」の問題についても取り上げられた。この標本展は2018年、英バーミンガムのNEC国際展示センターで開催された。中国から輸入した展示会用の標本は全て「引き取り手のない人の死体」として分類されているが、当局の許可書類および遺族の同意書は添付されていない。

下院で修正案を提出したマリー・リマー(Marie Rimmer)議員も11日のスピーチで「リアルバディ」について言及した。議員は、「標本は良心囚や人権被害者の遺体である。英国国民は知らぬうちにこれらの可哀そうな人たちを見るために、チケット1枚に15ポンド(約2190円)を支払った」と述べた。

「私はその情報を聞いた後、人権被害者のために、人体組織や臓器の(違法な)採取を終わらせることを決心した。私たちの国と国民は決して中共の蛮行の共犯者になってはいけない」と述べた。

「子供じみた英中関係はもう終わりだ」

リマー議員は「この修正案は、人道に反する恐ろしい犯罪を容認できないという明確なメッセージを送っている。法案は、中共ではなく中国人民のためのものでもある。この改正案は、英国と中国の新たな関係の始まりであり、両国の子供じみた関係はもう終わりだ」と語った。

議会での議論のもう1つの重要なテーマは、英国から輸出された医療機器が中共の臓器保存や輸送に使用される可能性だ。

共産主義の犯罪について研究するNPO団体IRCC(Institute to Research the Crimes of Communism)は2019年の報告書で、臓器保存と輸送の医療機器を中国に輸出していた英国のOrganOx社とBridge to Life社が、中共の臓器狩り活動に関与していた可能性があると告発した。

議員からは「英国政府や企業のいかなる人権侵害の行為への関与もやめなければならない」との声が上がっている。

(大紀元日本ウェブ編集部)

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