英紙ガーディアン11日付によると、同国の理工系大学インペリアル・カレッジは中国の防衛関連企業がスポンサーとなっている2つの共同研究施設を閉鎖する方針だ。
施設の1つ、中国航空工業構造設計製造センター(AVIC Centre for Structural Design and Manufacture)は、同大学に中国の民用及び軍用航空大手企業との長期にわたるパートナーシップによって作られた。同社は最先端の航空宇宙材料の研究に600万ポンド(約9億9945万円)を支援している。
もう1つは、同大学が中航百慕新材料技術工程股份有限公司(Biam)と共同運営する施設である。Biamは、高性能バッテリー、ジェットエンジン部品、耐衝撃性航空機フロントガラスなどの研究に資金450万ポンド(約7億5050万円)を提供している。
Biamは、中国国有企業、中国航空工業集団公司(AVIC)北京航空材料研究院の傘下企業である。
報道によると、中英双方は、共同研究事業を通じて民用航空宇宙技術の向上を目指している。しかし一部の時事評論家はこれらの研究が、中国の軍事的な野心を助長する恐れがあると指摘している。
インペリアル・カレッジは今年末までに、この2つの共同研究プロジェクトを中止する方針。同大学が提出した施設の認可申請が、他国との機密研究の共有を監督する英規制当局、国際通商省輸出管理局(Export Control Joint Unit、ECJU)によって却下されたためだ。
今年7月、英米情報機関のトップが、英国の大学における中国のスパイの脅威について警告した。ECJUの対応は、この問題を巡る英政府の強硬な姿勢を浮き彫りにしている。
英シンクタンク、王立防衛安全保障研究所(RUSI)の中国問題専門家は「民用と軍用技術の区別がつきにくくなっている。敵対勢力を助けるべきではない」と話した。
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