米英の情報機関トップは6日、英国で合同演説を行い、中国政府が欧米企業の知的財産権の窃盗などを目的に諜報活動を強化していると強く警告した。英防諜機関、情報局保安部(MI5)のケン・マッカラム長官は、英政府がビザ発給を厳しくしたため、過去3年間に中国軍とつながりを持つ中国人留学生50人が英国を出国したと明らかにした。
MI5本部で行われた合同演説において、マッカラム長官は、中国政府は欧米企業や研究機関が持つ世界最先端の技術、研究成果などを標的にしているとした。中国政府は、しばしば軍と関係する学生らを海外の研究機関などに派遣し、欧米の知的財産権を盗ませている。
長官は、「最先端の国家安全保障上の優位性を得ようとする」中国の更なるスパイ行為を阻止するため、2020年に英政府はアカデミック・テクノロジー承認計画(ATAS)制度を見直したと述べた。これにより「中国軍と関係する中国人留学生50人余りが英国内から退去した」。
英国は07年、反テロ対策として、外国人留学生が英国内の大学でバイオテクノロジー、物理、コンピューターなどの分野で修士号や博士号を取得する時には英政府の承認取得制度「ATAS」を導入した。米国や、欧州連合(EU)、日本などを除く各国の大学生が英国に留学する際、ビザ申請の一環としてATAS証明書が求められる。20年、英政府は同制度の一部の改正し、今後大学で国防や軍事技術を学ぼうとする外国人留学生への審査を厳格化した。
いっぽう、マッカラム長官は講演で、英政府の強硬姿勢は中国政府に対するもので、中国国民を対象にしたものではないと強調した。
英国内には約15万人の中国人留学生がいる。
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。