≪医山夜話≫ (10)
多重人格
多重人格に関して、漢方医学の見方は西洋医学と異なっています。漢方医学でいう多重人格とは、患者が自分の主意識を放棄して外来の霊や鬼などにコントロールされ、主意識がもうろうとなって不可解な行動に出ることです。
ある日、カロリンという患者が糖尿病を治療するために私の診療所を訪れました。一週間後、彼女の糖尿病の症状はなくなりましたが、次に来たときは、肝炎を患っていました。彼女は一定の期間を挟んで、繰り返し大きな病気にかかっていました。診療所を訪れるたびに、彼女は異なる病気の症状を訴え、その時に行った様々な検査結果や診断書がたくさんありました。これらの病気が複雑に絡み合い、彼女はまるで危篤の重病患者といっても過言ではありません。しかし、不思議なことに彼女は、いつもきらびやかな衣装を着たかわいい少女だったのです。
彼女は毎回、違う服を着ていました。アメリカン・インディアンの先住民の衣装や、アフリカ人の長いスカート、18世紀のフランスの貴婦人のドレス、日本人の着物、ジーンズ、中国風の前ボタン式の上着。くるくる変わる彼女の衣装に、私は目もくらむばかりでした。更に私を驚かせたのは、彼女の表情や雰囲気、喋り方も、その時に身に着けている服とよく合っていたことです。
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