【ほっこり池】日本を愛し抜いた人

 ドナルド・キーンさんが亡くなられたのは2019年2月24日でした。

 日本国籍をもつ96歳。日本でのお住まいは、東京都の北区にありました。1922年、ニューヨーク生まれ。1940年にアーサー・ウェイリー訳の『源氏物語』に出会ったことを皮切りに、日本語と日本文学を学び始めます。

 対日戦争中は、米海軍の情報士官として日本軍捕虜の尋問にあたりました。任務として、戦死した日本兵の日記を読んだとき、キーンさんは、その切々とした心情に共感して泣いたそうです。

 2011年3月11日の東日本大震災の後、キーンさんは日本国籍を取得します。

 原発事故の影響を恐れて多くの在日外国人が日本を離れるなか「私は彼らと違う。日本を離れない」と宣言。その覚悟の証しとして、キーンさんは、澄んだ青い目の美しい「日本人」になりました。

(慧)