【歌の手帳】富士の山
田児の浦ゆうち出でて見れば真白にそ不尽の高嶺に雪は降りける(万葉集)
田子の浦にうち出でて見れば白妙の富士の高嶺に雪は降りつつ(新古今)
いずれも奈良時代の歌人・山部赤人(やまべのあかひと)の作。小倉百人一首のなかにもありますので、よく知られています。同じ歌2首のうち、元歌にちかいのは万葉のほうでしょう。鎌倉時代に編纂された『新古今和歌集』の同歌は、五百年を経た筆写の途中で自然に変わったとも考えられますが、おそらく鎌倉期の編集者が古歌を再録するにあたり、意図して書き変えたものかと思われます。
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