「仰げば尊し、我が師の恩。教えの庭にも、はや幾年」。
この歌を卒業式でうたう学校は、今もあるのでしょうか。私は、たぶん小中高で、歌った記憶のある世代です。古文調の歌詞がそのときに理解できなくても、その後の自分の人生のなかでじわじわと染みてきたように思います。
時代とともに歌わなくなったのには、その理由があるのでしょう。ただ、その学校での最後の教育の機会にこれを歌わないのは、ちょっと残念な気もします。
歌詞は「立身出世して、有名になれ」などと俗っぽいことを言っているのではなく、孔子の『論語』にも「三十而立」とあるように、儒教の道徳にかなうよう精進し「社会の役に立つ人になりなさい」と当然の励ましを贈っているだけではないでしょうか。
それを古いと言われますか。伝統とは、努めて守らねばならぬものです。
(慧)
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