北朝鮮ハッカー、ファイザーとビオンテック製ワクチンデータの窃盗容疑
製薬会社のファイザー(Pfizer)社とビオンテック(BioNTech)社が共同開発した2019新型コロナウイルス急性呼吸器疾患(COVID-19)ワクチンに関する情報の窃盗を北朝鮮ハッカーが試みた。複数の情報機関が指摘した。
2021年2月下旬に欧州治安当局がニュース専門ウェブサイト「ビジネスインサイダー」に語ったところでは、今回のサイバー攻撃は新型コロナウイルス感染症ワクチンに関する科学情報の収集を目的とした北朝鮮の国家ぐるみの作戦である。
極度に慎重を要する状況であることから匿名で取材に応じた欧州の某当局者はビジネスインサイダーに対して、「これは明らかにマルウェアや身代金目的の攻撃ではなく、情報収集の試みである」とし、「技術的な詳細は控えるが、当局は各種類の攻撃について豊富な経験を備えている」と述べている。
北朝鮮政権は現在も、国内で確認された新型コロナウイルス感染症例は皆無と主張している。これにも関わらず、中華人民共和国(中国)とロシアは北朝鮮にワクチンを提供することを誓約している。同当局者の発言によると、北朝鮮ハッカーは複製して闇市場で販売するため最も簡単なワクチンを探している。 同当局者はビジネスインサイダーに対して、「当局は今回のサイバー攻撃の成否については言及していないが、もし成功していたと仮定しても、ファイザー/ビオンテック製ワクチンはロシア製や中国製のワクチンと比較して、製造上・保管上の課題が多すぎると考えられる」と話している。
韓国国家情報院もまた、ワクチンデータを標的とした北朝鮮のデジタルスパイ活動を非難している。 ロイター通信が伝えたところでは、韓国の国会情報委員会に所属する河泰慶野党議員は、「新型コロナウイルス感染症ワクチンと治療法に関する技術の窃盗を試みるサイバー攻撃が発生し、ファイザー社がハッキングされた」と発表している。
河議員もまた、攻撃日時や攻撃の成否に関する詳細情報の公表は控えた。 北朝鮮によるサイバースパイ活動は拡大を続けているが、2月に報道された同サーバー攻撃疑惑は同国が企てた最新の医療記録ハッキング事件である。ワシントン・ポスト紙の報道では、2020年11月、マイクロソフト(Microsoft)社は北朝鮮とロシアのハッカーが製薬会社やワクチン研究者からデータの窃盗を試みたと発表したが、これらはすべて失敗に終わっている。
(Indo-Pacific Defense Forum)