その船は今、江東区夢の島の展示館のなかで静かに眠っています。
「はじめ近海のカツオ漁船として1947年に建造。後に、マグロを獲ったほうが収入になるということで1953年に改装され、第五福竜丸となりました」。そんな説明を、私は十数年前に、この展示船のスクリューのそばで聞きました。
それにしても松の木材でつくった船です。これで遠洋まで出かけたこと自体、驚きであるとともに、今にのこる木造船の文化財的な価値を感じました。
当時は船に冷凍設備がないため、獲ったマグロはパラフィン紙に包んで氷漬けにします。第五福竜丸で、その重労働をやっていたのが、当時20歳だった大石又七さんでした。
その船を見上げながら、ビキニ環礁水爆実験の被爆体験を、大石さんからお聞きしました。3月7日、ご逝去されていたとのこと。合掌。
(慧)
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