【医学古今】
咽喉痛に肝を治す
現代医学では、咽喉痛は肝臓と結び付きにくいのですが、漢方医学では肝の経絡は咽喉部を通って頭頂部に至りますので、肝臓に関連している可能性があります。
以前、30代の男性が発熱、咽喉痛を訴えて耳鼻咽喉科で抗生物質などの治療を受けましたが、なかなか病状の改善が見られないため、当院を訪れました。
この患者さんは、発熱、咽喉痛の症状以外に強い倦怠感がありますが、血液検査では炎症反応に異常はありません。外観はがっちりした体格で熱も微熱程度なのに、数週間前に発症してから強い倦怠感で仕事もできず、いつも横になりたいほどの疲れを感じています。
漢方医学では、「肝は疲極(注1)の本」という理論があり、つまり肝臓に問題があれば、倦怠感が現れやすいのです。この患者さんの疲労感の程度から、私は肝臓に問題があるのではないかと思いました。漢方医学において肝気鬱滞や肝経鬱熱、肝血虚などの肝の病気は、必ずしも血液検査で異常が見られるとは限りません。実際、この患者さんの脈を診ると、左手の関部(肝の代表部位)の脈が弦数(注2)であり、肝経に鬱熱があることを表していました。
この肝経鬱熱の症状に、竜胆瀉肝湯と柴胡清肝湯を合わせて2週間投薬しました。すると、服薬して1週間後に症状がすべて消失し、仕事にも復帰したそうです。同じ薬を更に1カ月投与してから薬を止めましたが、その後、症状の再発はありませんでした。
(注1)疲極:過度の疲労
(注2)弦数:弦脈(力強く、緊張していて弓の弦のような脈)、数脈(脈が速い)
(漢方医師・甄 立学)
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