【医学古今】
上等の医者は国を治す
医者を評価する基準は時代とともに変わっています。今では病気を治せば素晴らしい医者だと言われますが、昔はより高い基準があったようです。
唐代の名医、孫思邈の著書『千金方』巻一「診候」には「上医医国、中医医人、下医医病」という一文が記されています。これは、「上等の医者は国を治す能力があり、中等の医者は人を治すことができ、下等の医者は病気しか治せない」という意味になります。
国を治す医者とは、どういう意味でしょうか?
中国の伝統医学は陰陽と五行の理論を基礎とした医学体系です。陰陽の理論では、道家のいう宇宙の万事万物がすべて陰陽の原理に従って生成、変化、消滅します。五行の理論は、中国古代の物理学で、万物が金、木、水、火、土の五種類の元素から構成され、その相互間の相生、相剋、相乗、相侮により変化します。
故に陰陽と五行の理論から、宇宙の万事万物の変化を認識でき、国家の政治、生命現象、病気の原理も認識できます。したがって、医者でありながら、国の「病気」を治すことも理解できます。
このような上等の医者になるためには、医薬の知識に精通する以外に、天文、地理、歴史、四書五経、養生、修煉、算数、占いなどの知識も必要となるのです。
(漢方医師・甄 立学)
関連記事
中国古典舞踊の最高峰・神韻芸術団は20日に来日。待望の2025年神韻世界巡回ツアーが23日に日本の名古屋で開幕する。
肩の柔軟性と筋力を高める6つのエクササイズを実践すれば、可動域を改善し、肩こりや日常の不快感を和らげる効果が期待できます。
白キクラゲやレンコンをはじめ、免疫力を高める10の食材を紹介。伝統医学と現代科学が推奨する抗炎症効果で、肺を潤し冬を快適に過ごす方法を提案します。
新たな研究により、男性における自閉症の発症リスク上昇には、Y染色体が関与している可能性が示されました。男性では自閉症が女性より約4倍多く見られる一因として、Y染色体が自閉症リスクを特異的に高めていることが明らかになっています。
朝食のタイミングを調整することで、2型糖尿病の血糖値管理が改善する可能性があることが新しい研究で明らかに。運動と食事のタイミングが血糖値に与える影響を探ります。