小さい頃によく読んでいた日本の民話の本。まじめで正直な者には善い報いが、怠けものや嘘つきには悪い報いがあることを、幼心に感じました。中国古代の小説にも、因果応報の話が多いようです。今日ご紹介するのは、清代の奇談集からの一遍です。
昔、あるところに非常に才能のある若者がいた。彼は何度も科挙の試験を受けたが、なかなか合格しなかった。
ある日、彼は病気になり、夢の中であの世に行った。すると、だいぶ前に亡くなった知人が現れた。彼は知人に、自分ももうすぐ死ぬのではないかと聞いた。知人は、命はまだ尽きないが、生活は困窮を極めるだろうと話した。
若者は愕然として知人に聞いた。「私は教師として生計を立てている。天にも社会にも背くようなことはしていない。それなのに、なぜ、この私が貧乏にならなければならないのか」
知人は、きっぱりと言った。「君は、教師として身を立てているのだから、その職を全うしなければならないはずだ。しかし、君はお金をもらっているのに、子供たちに道徳を教えず、彼らの人格を形成することもしていない。それはお金を無駄にし、盗んでいるのに等しいのだよ。だから君の人生には福が来ないのだ」
知人は続けた。「親たちから信頼され、お金をもらっている以上、教師は子供たちに徳を教え、よい人間になるよう導かなければならない。君のようにしっかりと仕事をしない者は、天が厳しく罰するのだ。それは、高官であっても、官僚であっても、同じなのさ。やるべきことをやらずにお金をもらい続ける者は、福を失っているのだよ」
「閲微草堂筆記」より
(翻訳編集・郭丹丹)
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